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各国壁ドン事情 黒の国編3
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「かべどんって、何すればいいの?」
「えっとね、壁をどーんってすればいいんだよ!」
「壁を、どーん?」
「そうだよ! わたしにやってね!」
少女のなんともあやふやな説明に、王はうーんと首を捻った。
「それ、そんなにやって欲しいの?」
「うん!」
「へぇ」
元気良く返事をした少女に、王はひとつ頷いた。判った、と肯定され、少女がやったぁと歓声を上げる。
わくわくと顔を輝かせている少女を尻目に、王は近くにあった木の枝に饅頭の袋を置いてから、すたすたと壁に近寄った。
不思議そうに瞬きを繰り返す少女の前で、名を呼ばれた地霊と火霊が、ふわりと王に寄り添う。そのまま王は右手を握り締めると、レンガの壁に迷いなく拳を叩き込んだ。
がごん、と重く鈍い音を立て、強化魔法を纏った右手は容易く壁を突き破った。その結果できた穴に、王が両手の指を掛ける。
「よっと」
それはそれは軽い調子で、王はメキメキと壁を引き剥がした。
結構な塊となって分離された壁は相当な重量があるはずだが、身体強化をしている王にとっては問題にならないらしい。
軽い調子でよいしょと壁を持ち上げた王の、何を考えているのかよく判らない黒い瞳が、目と口を大きく開けた少女の姿を捉える。
そして、
「どーん」
無感動な一本調子の掛け声と共に、レンガの壁は豪速で少女に向かって投擲された。
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