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各国壁ドン事情 おまけ2
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少しばかりぎすぎすとした空気が落ち着いて、金の王がこっそり安堵の息を吐いたところで、それはそれとして、と白の王が首を傾げた。
「ヴェールゴール王ではありませんが、どうして皆さま、壁ドンの内容を周囲の方々に確認しなかったのですか?」
数人の王が多種多様に笑いを見せ、数人の王がそっと目を逸らす。
そんな中で、あ、それを訊くのか、と金の王は思った。自分も気になりつつ、口にするのは控えていたその疑問を、白の王はなんのてらいもなく言ってのけたのである。
白の王の方を見ると、いつもの慈愛の笑みがそこにある。そしてその後ろに控えている神官の男の目が、好奇心に煌いたのを見たような気がした。
「皆さま、って言い方だと、妾まで含まれているみたいで嫌だわぁ。妾はきちんと判った上で、民を喜ばせてあげただけだもの」
「訊くも訊かんも、そもそも儂のところは誰も知らんかったからなぁ。まさかそんな訳の判らんものだとは思いもせんかったわ」
「俺に関しては、そもそも最初っから壁ドンがどんなのか知ってましたしね~。なんたってウチからの発祥ですし、女の子に大人気ですし。そうなると俺が知らない訳ないでしょ~?」
薄紅、橙、黄の王が順にそう言うと、紫の王が黄の王をちらりと見て、小さく口を開いた。
「……さすが、王獣に壁ドンされた男は、言うことが違う」
ぼそっと呟かれた嫌味たっぷりの発言を耳聡く聞いた黄の王は、紫の王の方へ上半身を捻ると、ハートを飛ばす勢いで喋り出した。
「そ~おなんですよぉベルマ殿ぉ! あいつほんっとひっでぇ奴で! 俺の顔が潰れちまったら、ベルマ殿まで悲しませちゃいますもんね!」
「耳障りで目障り」
「辛辣なところも素敵ですよ!」
苦虫を数匹噛み締めたような顔をする紫の王にも全力でラブコールをかます黄の王の姿は、相変わらずたくましさすら覚える。自分には絶対真似できないな、と思う金の王だが、そもそも真似しようとはあまり思えない姿でもあった。
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