アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
そらとぶ とかげ7
-
いつもと様子の違うトカゲを、少年が訝しげに見つめる。しかし生憎、少年の未だぽんやりした頭では、トカゲがいつもと違うことはなんとなく判っても、実際どんな心境なのかを察することは難しい。
だから少年は疑問符を浮かべつつ、トカゲを撫でながら話を続けた。
「おっきいティアくんと、どこまでも行くの、たのしかったなぁ……」
トカゲはシーツに鼻先を埋めた。頭の上に重石が乗っているようだった。ああ、きょうや……。
そんなトカゲの心境を置き去りに、ぽやぽやした口調で少年は、でもねぇと笑った。
「ぼく、やっぱり……いつもの、いまのティアくんがいちばんだなあ」
トカゲのつぶらな瞳が少年を見た。少年はとても柔らかく笑っていた。
「小さいティアくんだから、ずっといっしょにいられるんだし……、いつも、いっしょでいられるんだもんね。……ありがとう、ティアくん。きてくれたの、ティアくんで、ほんとうに良かったな……」
言葉尻に半ば被るように、トカゲは少年の手の下からぴょんと飛び出ると、少年の顔にくっついた。すりすりと頬に身体を摺り寄せ、たくさんのキスを少年に贈る。
突然の行動に驚いた少年は目を丸くしたが、すぐに笑額に戻ると、すりすり懐くトカゲを再び無で始めた。
あまえたさんだね、どうしたの、と何も判っていない声が、今は福音のように聞こえた。
ああ、きょうや! きょうや!!
すき!!
トカゲの全身で訴える愛に、少年は少し不思議そうに、けれどとても嬉しそうに応える。
そのままトカゲと少年は、朝食を運んできた使用人が部屋を訪れるまで、ずっとベッドの上で仲良くじゃれあっていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
68 / 102