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クラリオの日常5
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「雷神様のお名前ですかぁ?」
「そうそう。色んなエトランジェの話をまとめた伝聞録に記載があってさ。“トル”だったら短いから、頭につけるのにもってこいだと思って。俺が創る新魔法には絶対これをつけるってルールを作っておけば、少なくとも最初のフレーズは考えなくて済むし」
なるほど。王妃たちは知らなかったが、このおちゃらけた王は、実は色々と考えた上で魔法の名前をつけているようだ。
「そんなに大変な作業なら、手伝ってやろうか?」
「確かに、私たち三人も一緒に考えれば、作業効率も上がりそうですね。いかがですか、クラリオ様」
王妃たちの申し出に、王は微笑んだ。
「ありがとー。でも、なんとなく名前決まりそうではあるんだ。あともう一歩って感じ。それに、俺が一人でやらないと風霊ちゃんとか拗ねちゃうかもしんないしねー」
そこで言葉を切った王は、王妃たちの顔を見てから、悪戯っぽい顔をしてみせた。
「でも、折角だから別の魔法の開発を手伝って貰おっかな」
「別の魔法ですか?」
首を傾げたアメリアに、王が頷く。
「雷魔法を応用して、ほとんどタイムラグがない伝達魔法を創れないかって考えてるとこなんだ。ほら、音よりも雷の方が伝達速度が速いから、音を雷に閉じ込めるか、いっそ音を雷に変換することができれば、理屈としては可能だと思うんだよなぁ。だた、音と雷を繋ぐのがめちゃくちゃ難しくて、なかなか上手くいかなくってさ。もし皆の手が空いてるなら、ちょっとだけお手伝いしてくんない?」
そう言った王に、アスカが首を捻る。
「別に手伝うのは構わんが、私はお前のように難しいことを考えるのは苦手だぞ」
「王様って頭悪そうな見た目してるのに、実はとっても賢いですもんねぇ」
「フィルミーヌ様、ちょっと言い過ぎですよ」
アメリアが優しく窘めたが、王に気にした様子はない。
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