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円卓懇親会3
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そうやって他の王をそれとなく観察しながら会の開始を待っていると、開始時刻に少しだけの余裕を持って橙の王が会場入りをした。入るや否や緑の王から痛烈な皮肉を食らっていたようだったが、豪快な王に堪えた様子はなかった。そして最後の薄紅の王は、美男美女を数人引き連れてほぼ時間ぴったりに姿を見せた。これでようやく、全ての王が揃ったことになる。
「さて、それじゃあ皆さんお揃いで。ようこそリィンスタットへいらっしゃいました」
ぱんぱんと手を鳴らした黄の王が、場の全員の視線を浴びながらそう口を開いた。
「毎度恒例の円卓懇親会、勝手は皆さん判ってると思うんで、取り敢えず始めましょーか。あ、ギルガルド王は初参加だったか。まあ適当に飲み食いすりゃいいだけの会だから、難しく考えずに飲んで騒いでくれや。つーわけで、乾杯の音頭は俺が取らせて頂きますねー」
黄の王がそう言うと、各国の供回りたちが自国の王にグラスを渡し、飲み物を注いだ。そうか乾杯か……と思った金の王が、はっと隣を見上げると、目が合ったヴァーリア師団長がグラスを差し出しており、にこりと微笑んだ。
(流石ヴァーリア、抜かりない……! 付いてきて貰って良かった……!)
優秀な部下に感謝をしつつグラスを受け取った金の王は、続けてジュースを注いでくれた師団長に、にこりと微笑みを返した。本当はお礼を言いたいのだが、こういう公式の場で部下に軽々しく礼を言うのはあまり良くないと教わったのだ。尤も、南方国はそういうことを一切気にしない自由な王ばかりなのだが、真面目な幼王は教えをきちんと守っているのである。
「そんじゃ、各々の国のこれからの繁栄と、リアンジュナイルの平和を祈りつつ、まあ程々に仲良くやっていきましょーやってことで! かんぱーい!」
黄の王の締まりのない音頭を合図に、円卓の懇親会が始まった。
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