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円卓懇親会4
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「さて、まずは挨拶回りをしなければなりませんね」
グラスを空けたギルヴィスは、そう口にしてむんっと気合を入れた。挨拶回り用の菓子は用意したし、準備は万端だ。重要なことだけを話し合う普段の会議とは違い、懇親会は社交の場だ。他国の王、特に北方の国々や、白と黒という特殊な立ち位置の王と交流を図れるこの機会を、みすみす逃すわけにはいかない。何よりギルヴィスは若輩にして新参者、己から動かねばなるまい。
ギルヴィスが意気込んでいると、後方から声をかけられた。
「ギルガルド王」
「あ……」
声の方に目を向ければ、そこにいたのは赤銅の髪の偉丈夫、赤の王ロステアールだった。
「グランデル王! こんばんは、ご健勝のご様子、何よりです」
「こんばんは。貴殿もつつがないようで何よりだ」
「ありがとうございます。今伺おうと思っていたのですが、来て頂く形になってしまい申し訳ございません……」
そっと頭を下げたギルヴィスに、赤の王が微笑む。
「いやいや、そう気にすることではない。寧ろ、一番に私のところへ来てくれるつもりだったご様子、嬉しい限りだ」
「そ、それは当然のことです。グランデル王は、私が尊敬する素晴らしい王でいらっしゃいますから」
頬を紅潮させて言うギルヴィスに礼を述べてから、赤の王は表情を緩めた。
「歴々と続く懇親会ではあるが、あまり気負う必要はない。折角こうも各国の名産品が揃っているのだ。ここはひとつ、盛大に食を楽しまねば」
そう言う赤の王はどこか悪戯っぽい顔をしていて、どうやらやんわり気遣われているのだと気づいたギルヴィスは破顔した。
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