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円卓懇親会7
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赤の王と別れたギルヴィスがまず向かったのは、紫の王の元だった。
紫の王は部屋の端の方にちょこりと座って、黙々と料理を食べているようだった。供回りの姿が見当たらないが、料理を取りに行ったりしているのだろうか。当代の紫の王は積極的に人と関わるタイプではないから、もしかすると挨拶回りを部下に任せているのかもしれない。
そんな紫の王に声を掛けようとしたギルヴィスだったが、彼が声を発する前に、陽気な声が耳に届いた。
「ベルマ殿~~~!」
黄の王である。
片手に持った盆の上に飲み物と菓子を用意して、にへらと笑う黄の王を見た途端、無表情に近かった紫の王の眉間にぎゅっとシワが寄った。
「うるさい。あと名前呼びやめて。ここは公式の場」
「まーまー固いこと言わないでくださいって! 隅っこでひとりのんびりなベルマ殿もお可愛らしいですけどぉ、良かったら俺と一緒にお喋りしましょうよ~」
そう言ってすとんと隣に座った黄の王に、紫の王の眉間のシワがさらに深まる。だが、当然ながら黄の王が怯む気配はない。
「ほら、ベルマ殿甘いものが好きじゃないですかぁ。ウチの特産、カルチの実のジュースと、ミルミノベリーたっぷりのゼリーですよぉ。ベルマ殿に是非食べてもらいたいなぁ~って」
「…………それは貰う。でもうるさい。あと名前、やめてって言ってる」
「そういうつれないところも最っ高です!」
「死んで」
二人のやり取りを少し離れたところで見ていたギルヴィスは、凄いな、と内心感嘆の声を上げた。勿論、明らかに邪険にされているにも関わらず、一向にめげる様子がない黄の王に、である。
ともあれ、彼らのやり取りの中で、紫の王が甘いもの好きと判ったのは良い収穫だ。ギルヴィスが用意した手土産もお菓子だから、きっと喜んで貰えるだろう。しかし、どのタイミングで話しかけて良いものやら。
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