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円卓懇親会14
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関わりたくないという横顔に、ギルヴィスは慌てて薄紅の王との距離を広げると、菓子箱を取り出して青の王に声を掛けた。
「あっ、あの、ミゼルティア王!」
「…………なんでしょうか」
「あの、こちらはマリムという西方の島のお菓子です。よろしければお召し上がり下さい」
ずいっと差し出せば、青の王の目がすっと細まって菓子を見つめた。相変わらず顔に、関わりたくない、というか、折角薄紅の王の矛先がそっちに向いたのだからそのまま引き付けてどこぞに行ってくれ、と書いてある彼は、受け取る素振りもなくただひたすら菓子を見つめ続ける。どきどきとギルヴィスの心臓が音を立てて鳴り響く。
やがて、小さな溜め息と共に、青の王はギルヴィスの手から菓子を受け取った。
「どうも、ありがとうございます」
「はい、こちらこそありがとうございます! これからもどうぞよろしくお願い致します!」
安堵に頬を緩め、ギルヴィスは頭を下げた。円卓内で二番目に渡しにくいと思っていた相手は、これで無事完了である。
にこにこ笑うギルヴィスの背中を、とんとんと何かが叩いた。
振り返ってみれば、どうやら薄紅の王が扇子でギルヴィスをつついたらしかった。目の覚めるような美貌が、子供のようにこてりと首を傾げる。
「ギルガルド王、妾の分は?」
「勿論、用意しておりますよ。どうぞお受け取り下さい」
そう言って菓子箱を渡せば、早速中身を見た薄紅の王が、ややつまらなそうな顔をする。
「あらぁ、随分素朴な見た目ねぇ。美しい妾には不釣合いだわ」
「あはは……。ですが、味は確かなものだと思いますので」
「そう? じゃあ期待しておこうかしら」
「ありがとうございます。今後とも、よろしくお願い致します」
「勿論よぉ。ギルガルド王は、妾の目に耐え得る顔をしているもの」
麗しい笑みでそう言われ、ギルヴィスは少し苦笑した。流石と言うべきか、どこまで行ってもブレない女性である。
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