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円卓懇親会22
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「あ、世話役遅いよ。ちゃんと紫のとこのお茶とか、黄色のとこのザナなんとかの卵とか、青のなんか良い魚のやつとか、持って来てくれた?」
ケーキにフォークを刺したまま、逆の手を世話役の持つ盆に伸ばした黒の王に、世話役の額にびきりと青筋が浮かんだ。彼は荒々しく、しかし盆の上のものは崩さないようにテーブルの上に盆を置くと、黒の王の頭をぱこんと引っ叩いた。
「遅いよ、じゃあありません! 貴方と言う人は! 少し目を放した隙に! 他国のものを!」
「えー、他国のものって言っても、そもそも皆で食べるためのやつじゃん。自由に食べて良いんだから、俺が食べても問題なくない?」
「皆さんで頂くものだと判っていながら! どうして! 独り占めするんですか! このおばか! もうそんなに皿を重ねて……!」
「良いじゃん、あそこは酒飲みで忙しいみたいだし、紫は引き篭もってるし、白の王も銀の王もそんなに食べないし。金の王だって小さいからどうせあんま食べないでしょ? だったら俺が食べないともったいない。特に銀はケチで国外にあんまり文化を流さないから、こういうときに銀の料理食べとかないと」
「あなたはもう少し遠慮と礼儀という言葉を学びなさい!」
火を噴く勢いで怒鳴る世話役に、まあまあ、と声をかけたのは白の王だった。
「少し落ち着いてください、世話役さん」
「あ、これはこれは、フローライン王陛下。申し訳ございません、こちらの躾不足でご迷惑を……」
「いえいえ、どうかお気になさらず。私は確かにそう多くを頂きませんし、折角皆さんが作ってくれたお料理を残してしまうのが勿体無いというのは、その通りだと思います。エルキディタータリエンデ王も、そうお思いでは?」
「とんでもございません、フローライン王陛下。エルキディタータリエンデ王陛下、ギルディスティアフォンガルド王陛下も、皆様本当に申し訳ございません、我が国の王が、いつもながら、どうしようもないほどに底抜けの馬鹿で」
「世話役、すぐ俺のこと馬鹿って言う」
「あなたは静かにしていてください、ヨアン様」
ぺこぺこと王三人に頭を下げていた世話役が、黒の王をぎろっと睨む。
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