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円卓懇親会24
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ギルヴィスが白の王の優しさに癒されていると、不意に黒の王が口を挟んできた。
「白の王、その金の王のお土産食い出ないし、こっち食べる?」
手元にある食べかけのホールケーキを指してそうのたまった彼に、いち早く反応したのは当然彼の世話役だ。
「ヨアン様! 人様のお土産になんて失礼なことを言うんですか! それに、自分の食べかけを人に勧めないでください! テーブルマナーは教えた筈でしょう!」
世話役の言うテーブルマナーが自分の知っているそれと同義なのだとしたら、テーブルマナー以前の問題だと思う、とギルヴィスは思った。
「なんで怒るの? 食い出ないのは本当のことだよ? お腹にたまらないからね、これ。それに、食べ物を独り占めしないで他人に分けろって言ったのは世話役じゃん。分けろって言ったり分けるなって言ったり、どっちなのかはっきりしてよ」
「そういう問題ではっ! ……ちょっと待ってください、ヨアン様」
「なに?」
「食い出がないのは本当のことだって言いましたよね? ということはつまり、ギルディスティアフォンガルド王陛下からの頂きものを既に食べたということですよね?」
「うん」
「でも、その横にあるヨアン様の分のお菓子は、未開封ですよね?」
「うん。まだ開けてないからね」
「じゃあ、なんで食べたことがあるんですか?」
「そりゃあだって、俺はあっちのやつ食べたから」
そう言って黒の王が指さした方には、先程黒の王が平らげたマリムの空箱がある。それを見た世話役は、一瞬押し黙ったあと、――突沸した。
「あの箱っ、銀の装飾が付いているということは、元を正せばエルキディタータリエンデ王陛下への贈り物ですね!? なんで! 他人の物を! 食べているんですか! あなたはぁっ!!」
「なんでって、銀の王、要らないって言ったから。要らないんだったら俺が食べても良いじゃん。銀の王も良いよって言ったし」
「~~~~ッ!!」
今にも額に浮き上がる血管がブチ切れてしまいそうな世話役に対し、黒の王はどこ吹く風というか、一向に気にしていない。その肝の太さには一種の尊敬の念を抱いてしまいそうだが、これは王としても人としても見習ってはいけないやつだ、とギルヴィスは思った。
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