アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
・53 アラン・リード
-
登城から数日後、俺とシャロウネは約束通り街に来ていた。
邸から街の近くまでは馬車で移動して、そこからは歩いて移動することになった。
本来なら馬車で目的の店まで行くところを、シャロウネが色々見て回りたいという事で徒歩での移動になった。
「ディラント様、シャロウネお嬢様、くれぐれも離れないようにしてくださいね」
付き添いのリーナさんに念を押される。
「分かってます」
馬車の中でも散々言われてたから、シャロウネも少し嫌気が差してるみたいだ。
「ディラント様、くれぐれもシャロウネお嬢様の事をお願いしますね」
リーナさんにそう言われて、俺は頷いた。
「なんでディーに言うんですか!?私の方がお姉さんですよ!」
そう言って起こり出すシャロウネに苦笑が漏れた。
「シャーネ、一緒に居れば大丈夫ですよ」
そう言うと、シャロウネがニッコリと笑う。
「そうですわね。私がディーから離れなければ良いのですよね」
そう言ってシャロウネが俺の腕にしがみついてきた。
「こうすれば、ディーから離れることはありませんわ」
シャロウネは嬉しそうに笑った。
……有華ともこうしてよく一緒に歩いたな。
俺は前を思い出して、懐かしく感じた。
俺はシャロウネと一緒に服屋に入る。
ここは貴族御用達の店で、当然オーダーメイド。
「ディー、どれが似合うと思いますか?」
そう言ってシャロウネがテーブルの上に大量のデザイン画を並べる。
正直、女性の服は分からない。
ましてやドレスなんて論外だ。
「シャーネはどういったデザインが好みなんですか?」
そう聞くと、シャロウネが悩み出す。
「こういったデザインは結構好きですわ」
そう言ってシャロウネは数枚のデザイン画を手に取る。
それは派手目のデザインに濃いめの色使いのドレス。
……そういえば、ゲームでのシャロウネはこんなドレスを着ていたな。
俺はゲームでのシャロウネのスチルを思い出す。
ドレスのせいもあってか、キツいイメージだった。
でも何となく、今のシャロウネのイメージとは違うと思った。
「こういったデザインも似合うと思いますよ」
そう言って俺は目についたデザイン画をシャロウネに渡した。
俺が選らんたのはフワッとしたデザインで淡いブルーに一部だけ濃い色が使われてるドレス。
シャロウネは俺が選んだデザイン画を見て黙ってしまった。
………気に入らなかったかな。
そう思って俺は別のデザインを探そうとした。
その時、シャロウネが突然立ち上がる。
「これ、試着出来ますか?」
そう店員に声を掛ける。
店員は『少々お待ちください』と言って部屋を出ていった。
「ディー、私このデザイン気に入りました」
そう言ってシャロウネは今日一の笑顔を見せる。
「気に入って貰えたなら良かったです」
しばらくすると店員の人が戻ってきて、その手にはさっきのデザインのドレスが持たれていた。
オーダーメイドの店でも試着が出来るように、デザイン画の試作品が存在する。
ここから生地だったり、色だったりと細かい修正を加えて新たにドレスが作られる。
シャロウネはそのドレスを確認すると、隣の試着室に入っていった。
シャロウネが試着室に入ると、俺は大きくため息をついた。
「お嬢様があれほど気に入るのは珍しいです」
そうリーナさんが言う。
「そうなんですね」
「きっとディラント様がお選びになったからですね」
そう言って笑うリーナさんに、俺は首を傾げた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
54 / 248