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f「ほら。帰るよ。家まで送るから。」
k「…フジの家が良いなぁ。たこ焼き食いたい。」
f「なんでこんな時間にたこ焼きだよ!」
k「食いてえの!たこ焼き機あるんだから焼け!」
f「理不尽キングめ…。」
彼の我儘には「友達」となった今でも振り回される。
友達としてをブレーキとして必死に心に縛り付ける。暗闇でもわかる赤い髪が街灯に照らされて妖艶に光っていて目が離せない。帰路がやけに遠い。先程タクシーを使って来たせいだと思いたい。
24時間開いてるスーパーがあったのでたこ焼きに必要な物をカゴに入れる。
無邪気にチョコレートやらウィンナーやら変わり種をポイポイ入れてくる。ネギは嫌だと不貞腐れる彼が子供みたいで愛おしくて胸が痛くなる。
買い物を終えて帰宅し、一緒にたこ焼きを作る。
現在22時を超えたところ。そんな時間に黙々とたこ焼きを作る。慣れた手つきでくるくるとひっくり返す俺に対してキヨは一個をひっくり返すのに苦戦している。
料理になるとすぐにポンコツになる。
k「…できた。」
1人でできた自分を自分で小さな声で褒めている。
本当に子供みたいだ。
f「焼けたから食べよー。」
k「いただきまーふ」
f「食いつきが早えって。」
k「あ゛っつ!!!」
f「バカかよ!!」
驚くほど「友達」になれている。
食べ終えて片付けをするとあっという間に23時を過ぎていた。もうすぐ日付が変わる。
f「俺ソファーで寝るからベッド使っていいよ。」
k「…おう。その前に風呂入っていい?」
f「いいよ。お湯沸かすね。」
浴槽にお湯が貯まっていく音がする。
お互いに目を合わせようとはしない。
キヨが痺れを切らしたかのように口を開く。
k「俺のこと嫌いになった?」
f「好きだよ。友達として」
k「そうじゃない。」
不安と期待に踊らされて今にも泣きそうな目がこちらを見ている。
その目を見て嘘がつけなかった。
k「本当のこと言わないと俺帰らないからな。」
何でもお見通しなんだ。彼には。
お互いにわかりやすいところがあるから。
変わり者同士だけど趣味嗜好、性格も異なるというのに。
f「これ以上好きになりたくなかった。」
k「…なんだよそれ…。」
f「これ以上は気持ち悪いから聞くなよ。」
k「今だけキモとか言わねえなら言えよ。」
f「や、やだよ。」
k「言ったよな?言うまで帰んねえって。」
鋭く光る目の美しさと罪悪感に怖気付きそうだ。
炎のように赤く光る髪が綺麗だ。
逃げるように余計なことばかり考えてしまう。
魔法のように自分の想いだけがすらすらとでてくる。
f「キヨが大好きで…日に日にその気持ちが大きくなって幸せにできる自信がなくなってそれが好きに変わっていくのが耐えられなかった。本当は愛してやまない。」
k「…なんで連絡なんもしてこなかったの?」
f「もしキヨがキスとかしてきたら拒む自信がない。たったそれだけだった」
言葉を綴ろうとしたら塞ぐように唇に触れ体温が伝わってきた。唇に残ってた形のない見えない体温が形を残すように重なってくる。
赤い炎が近づいて熱くなる。
ゆっくりと遠ざかる炎から目が離せない。
深夜0時に「友達」という魔法が解けた気がした。
風呂に貯まったお湯が溢れ出して排水溝が音を立てているのが聞こえる。
k「…こういうこと?」
f「…お前には嘘つけないや。何一つ先の見えない関係に嫌気がさしてるんじゃないかって見えない気持ちに押しつぶされて勝手に自信なくして…俺さ、例え余命宣告受けたとしても最期までお前のこと笑わせてやる覚悟だった。これ以上好きになっちゃいけないと思ってお前に見惚れながら友達に戻ろうとした。だけどあんまりにもお前が聞き分け良くて笑うから余計に苦しくて悲しくてお前が1番大事だったことに後で気付いてそれからお前に会うのが怖くなって…。」
k「ちょ、ストップストップ!」
f「あ。ごめんつい…」
k「いや、なんかそんなに思ってくれてたなんて…ごめん…へらへらしてっけどさ、納得はできなくてちょっと聞けりゃそれでいいと思ってたんだ…。」
キヨは顔を赤くして今にも泣きそうな顔で下を向く。
f「…キヨ。」
k「…な、なに…?」
f「もう1回俺にお前の半分預けてくれない?」
k「…いいよ。全部くれてやるよ。」
f「ありがとう。今度こそ大切にするから。2度と泣かせないよ。」
k「へへっ…絶対だかんな…」
f「お風呂一緒に入ろう?」
k「恥ずかしいんだけど…。」
f「いいから。おいで。」
風呂場へキヨの手を引く。
さっとお互い身体を洗い流して浴槽に浸かる。
溢れかえった浴槽に2人で入ると質量が増してお湯が半分程になってしまう。
後ろからキヨを抱きしめる。今度こそ沈まないように。
首筋に埋まる小さな顔が火照ってうすらピンク色に染まる。頭から首にかけて滴る雫が光っていてその美しさに心が掻き乱される。
彼の顔をこちらに向けさせて溺れるようなキスをする。
キヨの細めた目から一滴一滴水滴がこぼれおちていく。
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