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fjky2 水
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f「今日は何もしたくないって言ったでしょ。」
悲しそうな顔で引き下がって行く。
時々こんなにも愛おしい彼が鬱陶しく思ってしまうことがある。
開けてはいけない扉をノックされてるようで何だか嫌気がさしてしまうのだ。
彼の容姿は以前どこかで見たことがある。面識があるのかすら曖昧で今となってははっきり思い出すことができないが彼のことを知っている気がする。
彼は体育座りをしてポロポロと涙を零して泣いていた。
段々と彼の姿が透けていく。
待って。行かないで。
そう言いたいのに言葉が出ない。
自分の荒くなっていく呼吸が聞こえる。
抱きしめようとしても彼に触れることができない。
どこにも行かないでほしい。だけど放っといてほしい。小難しい感情が邪魔をする。
苛立ちを抑えるように画材をテーブルから勢いよく払い落とし、風呂場へ向かう。
浴槽にお湯を張って浸かる。
触れられない彼が俺に寄りかかってくる。
触れられない上に、声を発せないことをいいことに目を瞑る。
目を瞑っても瞼に彼の姿が張り付いているように離れない。
俺が彼に描き足したヒレがゆらゆらと水面に揺れる。
瞑ったはずの瞳に水が溜まっているせいだろうか。
それとも頭の中で勝手にイメージしてしまっているのか。
風呂から出て髪を乾かし、ベッドに寝転がる。
脳がグラグラと揺れる。目を瞑っても揺れていて酔いそうになる。
目が覚める。午前8時。朝だ。
寝ても眠気が覚めない。
頭が割れそうなくらい痛い。
頭痛薬を飲めば治るだろうと、ゆっくりベッドから起き上がり薬を飲んだ。
f「昨日はごめんね。」
彼は何のこと?とでも言うように目を丸くして首を傾げる。
昨日のことは気にしていない様子だ。
f「今日は少し出かけるよ。」
彼はこくこくと頷きながら微笑んだ。
頭痛薬を切らしてしまったので薬を買いに行った。
最近頭痛が酷く、毎日飲んでいる。
薬を買う度に彼は悲しそうな顔をする。少し前まではもう薬を飲むのやめた方がいいのでは?と買うのを止めさせようとしていたが、頭痛に耐えられず飲まざるを得ない。
きっとそんな俺を心配してくれているのだろう。
f「大丈夫だよ。いつものことでしょ?」
彼は下を向く。
俺は水のあるところへ彼を連れていこうと本来遊泳禁止だが、外れたところの海へ向かう。
海へ行くにはここからだと時間がかかるので今から向かうと夕方くらいになりそうだ。
スーパーに寄ってラムネを2本買っていこう。
彼は相変わらず俺の周りを泳いでいる。
ラムネを見つめた。
泡を立てないように色々と試行錯誤して開けては儚さに浸って爽やかさに洗われた。
子供の俺は試行錯誤しても答えは出せず、噴き出す泡を見送ることしかできなかった。
海に着く。
海に近付くと彼は海に喜んで入る。
俺はそんな彼を見つめながらラムネを開ける。
泡が噴き出して石に吸収されていく。
懐かしい味だ。
彼は海の中から手招きをしている。
その手招きに誘われて海に入る。
彼はラムネのように笑う。懐かしく爽やかでどこか儚げに。
水は抱きしめようとしても当然すり抜けていく。
抱きしめたくても抱きしめられない。きっと彼は水そのもので俺が水に抱いている幻想なのだろう。
辺りは暗くなって太陽が月と入れ替わり水面を月明かりが照らす。
今日は帰りたくない。
そろそろ頭が痛くなってしまう。
頭痛にも起こる時間があるのだ。朝と夜。
先程買った頭痛薬を飲み、海に身体を浮かべる。
今日はよく晴れていて星も満開だ。
夜の海がこんなにも綺麗を集めていたとは思わなかった。
身体が沈んでいく。
水中で目を開けると痛いが水中から空を見上げて見たかった。
水面から水中に光が差している。なんて綺麗なんだ。
彼の身体が重なってくる。
水中なら掴めそうだ。
このまま沈んでいくのも悪くはない。
そうすれば頭痛から解放してもらえる。
そう思った。
水中から顔を出すと自分の家の浴槽にいた。
風呂に入りながら寝てしまって夢でも見ていたのだろうか。
素敵な夢だったなと思う。
いつまでもこんな夢が続いてくれたらいいのに。
遠くから声が聞こえる。
誰の声だろうか。聞き覚えのない声たちだ。
五月蝿い。
耳を塞いでも多少は聞こえて来てしまうので風呂に潜る。
水中だと音は少し紛れてくれる。
彼の顔が近付いてくる。
f「ねぇ。このままずっと一緒にいようよ。」
そのまま眠りについた。
目を覚ますと真っ白な空間だった。
目の前には医者がいる。
頭痛が酷く頭を抱え込もうとするが、手はベッドに拘束されて動けない。
医者は落ち着くように説得しているのだろうが全く耳に入ってこない。
水を差し出されて無理矢理飲まされる。
彼がいない。
いつもなら水を飲むと目の前に現れてくれるのに。
もう会えないのだろうか。
医者に頭痛薬を要求しても首を横に振る。
薬の過剰摂取でもしてしまったのだろうか。
彼がいない。
もう一度彼に会わせてほしい。
それからしばらくして退院した。
入院中彼は姿を見せなかった。
家に帰り、浴槽に身体を沈める。
彼だ。
f「久しぶり。会いたかったよ。」
ギュッと抱きしめた。
水中を彼の僅かな炎が赤が広がっていく。
夕陽を移した海のような。
水中で燃え上がる炎のような。
身体中に流れる血液のような。
赤く綺麗な景色だ。
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話が見えにくかったと思います。
本当つまらないものあげて申し訳ないです
この話結局どういうこと?マジ意味わからんスッキリしないわと思う方。
本当ごめんなさい
下の方に話の真相書いときます
それではまたどこかで
ここまでお読み頂きありがとうございます。
まず作中の彼はフジが見えている幻覚です。
キヨとは付き合っていて別れてしまった後のお話というふうにお考えください。
キヨと別れてからは自暴自棄になり頭痛薬と称して飲んでいた薬がフジにしか見えない彼を作り上げます。
いわゆる幻覚症状が伴うような薬の服用ですね。
皆さんダメですよ。絶対服用しないでくださいね。
海に行ったのも全て妄想で最初から浴槽に浸かっていました。
最後はリストカットをして風呂に沈んで行くのですが生死は皆様のお好きなようにご想像お任せします。
こんな感じですね。
ラムネに対しての感情はただ私自身が大人になって飲もうとして開けた時にそう感じたのでそれをそのままフジに乗せてみただけです。あと、季節は夏ということを表現したかったので持ち入りました。
もちろんフジが作り上げた幻覚なので彼のことはなんでも分かります。
多分これで解説しきったと思います。
何かあればコメント等頂ければお答えします。
ありがとうございました。
次はちゃんとしたの書きます
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