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1.平凡な世界⑸
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僕が疑問に疑問で返すと彼の瞳が少し開き、何か理解したようであぁと呟いた。
「…もしかして噂の転校生?」
噂?
不思議に思っていると、彼の目線は僕の足元のほうにいって床のものに気付いたようだ。
「どうしたのそれ?」
「あ…」
そうだ、忘れてた。
プリントを盛大にぶちまけたんだった。
僕が散らばったプリントに手を伸ばすと、反対側からも手が伸びてきてささっとかき集めてくれた。
「…ごめん」
彼にそう言うと、僕が手に持っていたものに気づき指を差した。
「それ…」
「あ、これ?さっき床に落ちてて、」
─バサッ
一瞬だった。
気づいた時にはもう僕の手元にその紙はなくて。
目の前にいる金髪の彼が、顔を赤らめて右手には紙らしきものを握っていたので奪われたのだと理解する。
顔が赤い…。
「なっ、ど、どこでこれ見つけた?!」
いきなりまたあの鋭い大きな声が部屋中に響いて耳が痛い。
「床」
「あーまじか…」
足元を指してそう言うと、「ハァ〜〜…」と大きなため息をついた。
何なんだ、一体…。
そして彼は僕が座ろうとした机の前の席に座り、くしゃくしゃになった紙を広げてチラッとこっちを見た。
なぜ座る。
「…みた?」
「見てない」
本当はちょっと見たけど。
なんとなく、ここは嘘をついた方がいいと感じた。
僕がそう言うと、彼は全身の力が抜けたように「よかったー」と声をあげて手で顔を覆った。
金髪の彼に似合わない口調と行動になんだか緊張の糸がほぐれる。
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