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Angel’ melancholy
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今回も出しに出しまくって収支プラス35000円、やっぱ俺って持ってる!!
途中までりんたろーさんも女性のライターさんもマイナスだったからここでなんとか俺が撮れ高をとらないとメチャクチャつまんねー回になってしまうから正直不安だったけど…ひとまず安心。
(ただでさえ芸人パチンコ番組の中で一番再生回数少ないのに…)
「やっぱ台だなぁー…」
「まだ言ってるー、りんたろーさん、普段の行いですよ」
「変わんないけどね」
りんたろーさんは右手にスマホ、左手には缶コーヒーを持って収支マイナス10000円を嘆いてる。
(俺は何を待ってるんだ…)
待っているのはマネージャーが手配したタクシーだけではない…スタッフさんもいるし、メイクさんもいる、まわりにたくさん人がいるから言えないだけだよなー…?
(言うなら昨日のうちに言うか…人がいて言えないなLINEで言えるもんな…)
今回はりんたろーさんの中で俺は求められてなかったんだ。
(今日は―――)
いつ求められるの?
もう必要ないってこと…?
やっぱり2ヶ月って長かったんだな……
「タクシー来ましたよ」
「ほーい」
「あ、俺、先乗っていい?多分、おまえんちの方が先に着く気がする」
「わかりましたー」
りんたろーさんは冷静だね。
俺だけがこんなソワソワしてるんだ…
普段は俺が先に乗ることが多いから右側に窓があるけど、今は左側にある窓に心が落ち着かない。
「お願いします」
助手席の山岡さんが運転手さんに声をかけ、タクシーが動き出した。
走りだして2,3分もしないうちに車の揺れが心地いい。
「りんたろーさん、この後は撮影はしないんですよね?」
(山岡さんがりんたろーさんに聞いてる…撮影…?何の…?)
「うん、しなーい。打ち合わせだけー」
「わかりました」
(打ち合わせって何……?)
「なんすか、撮影って…」
「えっ!?りんパニよ?」
(なんだ…でも今日この後りんパニ関連あるって初めて聞いた…)
「今から…撮影…?」
「撮影はしないって今言ったやん。次のやつの打ち合わせよ…ってもう半分寝てんなー」
(それ…ホントに…打ち合わせ…?どこでやんの…?)
「どこでやるんですか?」
(おお…山岡さん、ナイスタイミング…)
「表参道のこじの知り合いのバー」
(バーって…そんなところで打ち合わせするかぁ…)
「バーって打ち合わせするところですか?」
(すげぇ…山岡さんに俺の脳内電波が届いてるみたいじゃん…)
「えっ、バーで打ち合わせしない?」
「私はしたことないですけど…」
「かねちは…マックか」
「お休みだからってあまり飲みすぎないようにしてくださいね」
「いや、打ち合わせ終わったらすぐ帰るわ」
「じゃぁ、お持ち帰り撮られないようにしてくださいね」
「山岡ちゃーん、そりゃないっしょ!!」
だんだん二人の声が遠くなってハッキリと聞こえなくなった。
(すぐ…帰る…?お持ち帰り…??)
そうだよな、やっぱギャル達が待ってんだよな…バーで男だけで打ち合わせするわけないもんな。
もう左側に窓があることなんか忘れていたのにそれを避けるかのように俺の体は右に傾いていた。
頭が何かに支えられたときはとっくに俺は全てをシャットダウンしていた。
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