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第一章
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────新しいマンションでの生活を始めて、たったの数日。
迅鵺の身の回りで異変が起こり始めた。
ポストには、迅鵺を隠し撮りした写真が一枚と一言書かれたメッセージカードが入った封筒が毎日入っていて、その枚数も七枚目となった今日は、ブルガリの香水が入った小包まで添えられている。
気味は悪いが、どうせ客のストーカーで何かあっても力強くでどうにかなるだろうと、誰にも相談しなかったし深刻には悩まなかった。
けれど、気付くといつも何処からか視線を感じて、それは自室に居ても感じられた。
ついに、一ヶ月経っても収まることはなく、段々とその内容はエスカレートしている。
最初は、店から出てくる所だったり何処かで買い物してる所やマンションのエントランスに入って行く所くらいだった写真が、自室で寛いでる所や着替えている所と、室内での迅鵺を盗撮したモノへと変化していた。
毎日、全身を舐め回されるような感覚にも似た視線に迅鵺は悩まされて、なかなかその犯人も分からず少しの手掛かりも掴めないでいた迅鵺は、流石に響弥に相談しようかと思い始めていた。
翌日、仕事終わりに相談しようと思っていたのだが、響弥はアフターで捕まらず自分の部屋だというのに少しも気持ちが休まらない日々を過ごしてきた迅鵺は心身共に疲れていた。
帰りたくない・・けど、疲れているから眠りたい。
そんな気持ちのやり取りを心の中で繰り返しながら帰宅する。
すぐにシャワーを浴びて、今までならバスタオルで拭きながら部屋を彷徨いたが、脱衣場でしっかりと拭いてからスウェットのズボンにTシャツと着替えも済ます。
部屋の中で写真を撮られるとしたら、いつもリビングの中だが、寝室へ行く為にはリビングを通らなければならない。
そのリビングで、風呂上がりのボクサーパンツ一枚姿で髪の毛を拭いている姿を撮られたと知った時から、脱衣場で着替えるようにしていた。
迅鵺はリビングに入るとキッチンへ向かい、冷蔵庫に入っているミネラルウォーターを口元へ持っていくと喉を鳴らしながら一気に流し込む。
ふと視線を感じてバルコニーに目をやるけれど、ここはマンションの二十九階。
それに、室内での写真が同封されるようになってから迅鵺はカーテンを購入していて、カーテンが取り付けられた窓からは、その正体が分かる筈もない。
カーテンをしていても、なんとなく感じる視線に、部屋の中でもリビングは特に居心地の悪い場所になった。
「────はあっ、せっかくの高層マンションなのに・・」
迅鵺は、バルコニーと窓が一番広い角部屋のその解放感と景色が気に入って決めた部屋だったので、景色を楽しむ為に最初はリビングの窓にはカーテンを付けていなかったのだ。
風呂上がりの火照った溜め息を吐いて寝室へと入っていった。
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