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第七章
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大の男が、鼻水まで垂らして大べそかいている姿に、迅鵺は“もういいっすよ、あんたは生きてるし、今ちゃんと話してくれましたから”と言って、悠叶の両手を包み込むように両手で握った。
「悠叶さんは、もう苦しまなくていい。これからは、俺が孤独だなんて思わせませんから。」
“ああ──・・やっぱり、あなたは運命の人だったんだ”
孤独という闇に蝕まれていた悠叶の心は、迅鵺によって再び晴らされていく。
自殺をしようと思い止まったあの日、迅鵺から感じた未来(さき)を見据えたようなキラキラとした瞳を思い出す。
その迅鵺が見詰める未来(さき)に、自分も映っていて欲しいと望んでしまう。
こうやって迅鵺は自分を照らしてくれているのだから。
「───俺を・・許してくれるっていうんですか?」
罪悪感と期待、今まで耐えてきたモノへの様々な感情が入り交じって、震える声で訊ねる悠叶。
そんな悠叶に迅鵺は、はにかんで頷いた。
「だって、こんなに悠叶さんの事を知ってんのって俺だけでしょ?生き霊飛ばしてくるくらい愛されてるんだし。」
迅鵺の憎まれ口を聞いて、悠叶は震える左手を迅鵺の首に回して迅鵺を自分に引き寄せる。
そして迅鵺の胸に顔を埋めると安心と嬉しさに心を震わせた。
「────ありっ、がとう、ございますっ・・」
悠叶は、何度もそう言って迅鵺の服をグショグショに汚してしまうくらい泣いた。
悠叶の人生に、光という色彩が彩られた日となった。
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