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第九章
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「─────やっぱり、あんたはちゃっかりしてるよ・・・でも、馬鹿だ。」
「へっ?」
馬鹿だと言われて、どう反応すればいいのか分からず変な声を出す悠叶。
けれど、悠叶は迅鵺の言葉に簡単に翻弄されてしまう。
「俺はただ、わざわざ店なんかで会う必要はないって言ったんだ。」
そっぽを向いてる迅鵺の横顔は、薄暗い店内では分かりづらいが、きっと頬を赤らめているに違いない。
悠叶は、今すぐに抱き締めてしまいそうな衝動をなんとか抑える。
「と、迅鵺さん・・・それは、いつでも会ってくれるって事ですか?」
「────は、悠叶さんて、ちゃっかりしてる上に、図々しいっすね・・・いつでもとは言ってない・・・」
精一杯の迅鵺の照れ隠しに気付いた悠叶は、狂おしい程に湧き上がってくる熱情を、ついに抑えられなくなる。
悠叶の心は迅鵺で独占されていて、余裕が無さそうに少し乱暴に迅鵺の手首を掴んだ。
「なっ、なんすかっいきなり!?」
驚く迅鵺を他所に、無言のまま手を引いて店内を歩いていく悠叶は、トイレに迅鵺を連れ込んでドアの鍵を閉めると、迅鵺をそのままドアに追い詰めて自分の腕の中に閉じ込めてしまう。
「悠叶さんっ、なんでトイレなんかにっ・・」
いきなり過ぎる悠叶の強引な行動に、困惑する迅鵺。
そんな迅鵺を真っ直ぐに見詰める悠叶は、切羽詰まったように熱の隠った吐息を交えて生唾を呑み込んだ。
「────嫌だったら、突き飛ばしてでも止めて下さいっ」
そう言うなり、迅鵺に返事をさせる隙間も与えずに我慢の限界だと言わんばかりの荒々しいキスをする。
「んっ──ふっ──・・」
迅鵺の上の唇を甘く挟み、下の唇に熱く吸い付く。何度も角度を変える悠叶のキスはどんどん加速していく。
───チュッ・・クチッ、チュッチュッ・・
狭い空間に、唾液が絡み合う水音が雨のように降り注ぐ。
息継ぎもままならない悠叶のキスに、迅鵺は鼻で息を吸うけれど、それでも苦しくて───・・
「─────んはあっ・・」
沢山の酸素を求めて、悠叶から逃れた。
けれど、息継ぎで開けた口の中に悠叶の舌が空かさず入ってくる。
ヌルッとした悠叶の熱い舌が、迅鵺の敏感な上顎の裏を愛撫した。
その瞬間、甘い痺れが迅鵺の脳内までも蕩けさせる。
「───んふっ・・あっ・・ふっ」
“ヤバい・・・気持ちいい”
キスなんかで、こんなになっちまうなんて・・・
迅鵺は、悠叶の熱く激しいキスに身体の芯から疼くように感じてしまう。
悠叶は迅鵺の唇を解放したかと思うと、迅鵺の口内でぐちゃぐちゃに交ざり合ったせいで余計に熱を持った舌先を迅鵺の右耳に這わせた。
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