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第十章
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「隅々まで綺麗にしろよお~っ!」
TOP SECRET店内に、代表の声が響き渡る。
今日は大掃除初日。最初は、なかなかやる気が起きなくてダラダラしていたホスト達も、段々と火がついてくる。
「うわっ!ヤベぇきたねぇっ!」
普段キレイに見えてる場所でも濡れ雑巾を滑らせれば、ごっそりと汚れが取れる。
そこかしこから、ホスト達の声が聞こえてくる中、迅鵺は仕切り窓やドアのガラス等を担当していて、念入りに綺麗に仕上げていく。
作業をしている最中でも悠叶の事が脳裏にチラつく自分に、いい加減イライラしていてた。
“いつまでも男らしくねぇっ!”
その鬱憤をキュッキュッと忙しなく音を鳴らしながら、ゴシゴシと力任せにガラスを磨き上げる事で発散させる。
「迅鵺、お前イライラしてんな。」
「────響弥さん・・すいません。鬱陶しいっすよね。」
そう言って苦笑いする迅鵺のケツをひっぱたく響弥。
「────ま、大体は察しがついてるけどな。とりあえず今日の分、掃除しちまうぞ。夜、空けとけ。」
叩かれたケツを摩る迅鵺が返事をする間もなく、響弥は自分の持ち場に戻っていった。
*****
「────で、あれだろ?鮎沢がどうかしたか?」
大掃除を終えて、近くのファミリーレストランにやって来た響弥と迅鵺。
席に着き、煙草に火を点けたところで、響弥は当たり前のように迅鵺に訊ねた。
迅鵺は、どう話せばいいのか分からないといった様子で、少し困っているようだ。
それもそうだろう。響弥は迅鵺の事が好きで、その気持ちを迅鵺は知っているのだから。
響弥も、その気持ちを察したようだ。
「おい迅鵺、俺に気を遣うな。まあ、多分ムカつくとは思うけどよ。とりあえず話せ。」
響弥らしい物言いに、迅鵺は少し気が楽になったようで肩の力を緩めて、意を決したように真っ直ぐに響弥の目を見詰めた。
「あ、あのっ!もしも、俺が響弥さんを抱きたいと言ったら、俺にケツを差し出しますか?」
流石の響弥も予想だにしない唐突過ぎる言葉に、咥えていた煙草は口元が緩んだせいでズレ下がり、その振動でテーブルに置いていた手の甲に灰が落っこちる。
「────あ"っちっ!!」
響弥は、手の甲に感じた熱さに驚きの声を上げると、氷が入ったグラスを当てた。
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