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最終章
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「────えっ?あ・・すいません。 なんでもないです。」
悠叶は、自分が涙を流している事に言われて気付いたのか、少し驚いた様子で、心配させまいと振る舞う。
けれど、既に見られてしまった涙は無かった事には出来ない。
迅鵺は、悠叶の言葉にムッと不機嫌な顔付きで手錠を外した。
「悠叶さんは、なんもないのに涙が出るんすか?それとも、俺には話したくない?」
「そっ、そんな事はないですっ!────ただ、迅鵺さんには、心配掛けたくなくて・・・」
ようやく自由の身になった悠叶は、体を起こすと迅鵺の言葉に慌てて反論した。
迅鵺を苦しめ傷付けてしまった事を、今でも忘れられず負い目を感じていたのだ。
そんな悠叶の気持ちを察したのだろう。迅鵺は悲しそうに眉を下げて、それでも悠叶を真っ直ぐに見詰めた。
「あのさ、悠叶さん。俺には悠叶さんの事を心配する資格がないってことっすか?俺は、心配したいし、心配して欲しい。それが自然なことなんじゃないの?」
「で、でも───・・俺、迅鵺さんに嫌われたくないんですっ・・すいません。心配掛けたくないなんて言って、結局は自分のことばっかりなんです・・・」
「でもじゃねぇっ!」
いつの間にかベッドの上で正座をしている悠叶の膝の上には
、キュッと左手で拳が握られている。
正直な気持ちを迅鵺に話したけれど、直ぐ様迅鵺は悠叶の頭上にビシッとチョップを喰らわした。
「自分のことばっかり?いいじゃないっすか。俺なんか、悠叶さんがなんもしてくんねぇから、ベッドに括り付けて目隠しまでして、」
迅鵺はそこまで言うと、悠叶の首に嵌めてる首輪の鎖を、グイッと自分の方へ引っ張った。
いきなり前に引っ張られて、悠叶は驚きの声を上げる。
「───こんなもんまで付けて、悠叶さんが酔っ払って寝こけてんのをいいことに、俺の好きなようにしたんすから。」
迅鵺は勢いで言ったけれど、恥ずかしいものは恥ずかしい。真っ赤な顔で悠叶をキッと睨む。
響弥の言った通り、迅鵺は悠叶に抱かれたかったのだ。
そんな迅鵺に言葉を失う悠叶だが、迅鵺につられて悠叶まで顔を真っ赤にしてしまう。
「あっ、あのっ・・」
明らかにドキドキして動揺している悠叶に、迅鵺は余計に恥ずかしくなって、少し荒めの口調でもう一度聞いた。
「な、何赤くなってんすか!それより、いい加減話して下さい。悠叶さんは、なんで泣いてたんすか?」
悠叶は迅鵺には敵わないといったように、しゅんと眉を下げて、肩を丸めると自信のなさそうにゆっくりと話し始めた。
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