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3-①
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春
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春はいい
気温も暖かくなり、景色が色づき、これから何かが始まる予感
新しい教室、真新しい顔が揃ったクラスの連中
クラス替えがあってまだ馴染んでないこの空気感にソワソワする
今日から新学期、晴れて俺も二年生
休み明けのせいか、久々に顔合わせた連中で教室の中もうるさいほどの賑やかさだ
あ~、みんな浮足立っているなぁと考えながら、自分もその一人かと思い至る
「あっさっひ~イェーイ!俺らまた同じクラス」
「おっ、やりー!」
いつもギリギリまで寝ている悦郎がやっと顔を見せて
ハイタッチをして喜びあっていると、どこからともなく叫び声が聞こえ始めた
近づいてくる
どんどん近づいてくる
誰かがものすごい勢いで走ってくる
一瞬頭に過った『もしかして』
(いやいやいや…そんな事はないッ)
自分に言い聞かせながらも、足音は近づき
まさかと思った時には既に遅そし
「かすがーーーーーーーーー!
はぁぁ、すぅぅぅは~~、ふぅ‥‥‥おっ俺ら、俺ら‥‥‥これから同じクラス!!これも愛の力じゃね?これで朝も昼休みも授業中も、いつでもイチャイチャし放題、やったね!」
まさか…が現実となり、眩しいほどの笑顔とピースサインを見せ、変態が現れた
「なにぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
「うひゃひゃひゃッ、最高じゃん。良かったな旭」
「良くねぇよ、一個も良くないッ」
俺の気持ちとは裏腹に、佐久間はすんごい満面の笑みで近づいてくる
こんな顔をされれば女の子は一瞬で惚れるだろう
だが、言っている事は変態発言で頭が痛くなってきた
春休みが始まる前
この変態の視界になるべく入らないように、隠れながら過ごして来た日々
クラスが違っていたからまだなんとかやり過ごしていたのにだ
これから同じクラス?
毎日こんな変態発言を浴びなきゃいけない?
(ま、マジかよ‥‥‥)
佐久間の眩しさと受け止めきれない現実で、目眩までする
鳥肌も立ってきた
あ~そうか、そうか、さっきのは幻聴だな
うん、うん…
「次の授業はなんだったけかな…」
現実逃避でもなんでもいい
違う事を考えて忘れてしまおう
教科書をカバンからいそいそと出そうと体をかがめた時、影が落ちた
「ん?」
「春日と同じクラスになった記念のチュー」
顔を上げれば恐ろしく近くに綺麗な顔があって、一気にまた現実に引き戻される
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