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6-②
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「マジかよ…準備室というか、物置きじゃん」
「春日、足下にもあるから気をつけて」
準備室に入り、あまりの乱雑さに開いた口が塞がらない
6畳ほどのたいして広くもない部屋に、とにかく色々な物が詰め込まれている
昔は使っていたのか埃を被った地球儀や、教科は違うが数学で使うデカい定規
暗幕やプロジェクターやら、棚には隙間という隙間にこれでもかっというぐらい物が押し込まれていた
で、その一番上の棚にお目当ての世界図がある
「なんだってあんな上に…」
「引っ張れば取れそうだよ、俺取るね〜」
背が高い佐久間が手を伸ばして、引っ張ろうとした時
タペストリーの紐が棚に付いているフックに引っ掛かっているのを目にした
「あっ、佐久間ちょっと待っ…」
俺が注意をしようとしたのと、佐久間が引っ張ったのが同時で
紐を通じて加わる力にグラリと手前に棚が傾き
元から微妙なバランスで成り立っていた備品が
宙に浮き
あっ!と思った時には遅く
「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「うわ~~~~~~~~~~ッ」
頭上に落ちてきた
「…すが?…春日ちゃん?」
俺を呼ぶ声が近くから、その遠くの方からは楽しげな話し声や廊下を走る音が聞こえる
だんだんとクリアになってくる音と、息を吸い込めば埃っぽい空気
それによってぼんやりと呼び出される出来事
一瞬記憶が飛んでて、なんで自分が目を瞑っているのか分からなかった
「春日ちゃん、大丈夫?」
もう一度呼ばれ、今度はハッキリと佐久間の声と分かり、そこで何があったか思い出す
「え?あ…あれ?」
思い出したはいいけど、なんで床にうつ伏せ状態で寝ているんだろう…
そして、かなりの量が上から降って来たはずなのに、体は全然痛くない
そして…
「ビックリしたね」
佐久間の声が近く…というか、耳元から聞こえ
なによりも背中が重くて、暖かい
まさか、そう思い首だけをなんとか捻って見てみると
「え!?さ、佐久間?」
佐久間が俺に覆いかぶさっていた
「大丈夫?痛い所ない?」
「え?え、と…」
「咄嗟だったから、ごめん…体ぶつけたんじゃ…」
背中越しで佐久間が慌てた感じがする
物が落ちてくる瞬間
きっと俺を庇うようにして覆いかぶさったんだろう
「いや、俺は平気だけど、お前こそ大丈夫か?」
「こんなのへーき。春日が怪我なくて良かったよ」
さっきから俺の心配ばっか…
普通は自分の身が第一だろうに。
危険な目にあう瞬間は、人は身構える
頭を庇うように手を頭上に掲げたり、その場でしゃがみ込む動作を取るのに…
(それをせずに、咄嗟に俺を庇うとか…)
そう思ったら、体が熱くなって
「あ、ごめん。そろそろ退く…」
「…とう」
「ん?春日?」
「~っ‥‥その、‥‥えっと‥あ‥りがと、佐久間。お前が一緒で良かった…」
言わずにはいられなかった
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