アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
7-④
-
(くそっ、あいつ…全部分かって…)
悦郎に嵌められた感が拭えない
でも、こうでもなかったら知りようが無かった
佐久間の真剣な想い
嘘でもなく
嫌がらせでもなく
面白がっているのでもなく
(本気で俺の事…)
佐久間との接点は今まで無かったはず
いつ?どこで?
あんな風に言って貰うような事、あったか?
考えても分からなくて
頭の中でその事がグルグル回り、考えようとすると、モヤが掛かり振り出しに戻ってしまう
佐久間の事を考えるともっと訳が分からなくなって
「あーーーッ、くそっ」
今はまだ見えない答えに蓋をすると
膝に力を入れ立ち上がった
「え!えぇえ!?春日ちゃん?!先帰ったんじゃなかったの?」
日が傾き、夕焼け色に染まる校舎の玄関
靴箱に背を預け、寄り掛かっていた俺はやっと来た佐久間を見上げる
「ッ…うっせー、お前遅いんだよ!せ、先生に呼び出しとか何したんだよ」
「へ?あ、えーとこの間の美術の課題出し忘れてて、片付けの手伝い…と、その前にはちょっと…」
「…ふーん、そっか…もう用事無いなら、帰んぞ」
「え?」
「帰らないのか?」
俺の言葉にびっくりしながらも、すぐに笑顔になる
「う、うんっ、帰ろう!一緒に帰ろう」
「ッ、…ぉう」
佐久間の笑顔は見慣れて来たはずなのに。
顔が熱くなったのは、これからやってくるジリジリとした夏の暑さのせいなのか
それとも…
「な~春日、手繋ごう〜」
「きしょい事言うな!」
いつものやり取り
いつもの風景
なのに、少しずつ何かが変わり始めた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
24 / 34