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ガイド役のファーム
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「ゴホン。ええっと、それで。なんの話をしてたかな?」
冬李はわざとらしく咳払いをすると、苦笑しながらレオにそう問いかけた。
「トウリの自己紹介をしたから、今度はファームの提供の話だよ」
優雅に烏龍茶を飲みながら黙って聞いていたレオは冬李の質問にさらりと返事を返す。
「ていうか、そんな重要でないことをドヤ顔で話す方が、俺は恥ずかしい」
「がーん……っ」
レオのあんまりな言葉に冬季はものすごくショックを受けてうなだれる。
しゅんとなって指先で机をいじいじといじる冬季を横目で流し見てから、俺はレオに話しかけた。
「ファームってなんだ?」
「ファームっていうのは、ガイドセンターが異世界人に提供するガイド役の妖精のことだよ。まぁ、見た方が早いと思うし、ちょっと呼び出してみるよ」
レオはそう言うとモニター画面をいじって何かを起動させる。
そのあとポケットから箱のようなものを取り出すとそれを俺に差し出してきた。
「……?」
黙って箱を手の乗せたまま俺を見つめるレオに首を傾げてから、恐る恐るその箱を受け取った。
貰った箱は手のひらサイズで、箱全体に複雑な模様が描かれている。
その箱の真ん中に何か穴のようなものがあり、その穴を囲むようにひし形の模様が四つ彫られていた。
「えっと、これ、なんだ?」
「それを指でノックしてみて。今さっき起動させたから、しっかり反応してくれるはず」
俺はレオに言われたとおり、箱を指でコツコツと軽く叩く。
その振動に反応したのか、箱が手の上でカタカタと動いて、真ん中にある穴の中から煙のようなものが立ち昇ったあと空中で形を作った。
「なんだぁ? 仕事か?」
ミニキャラのような小さい人型の物体が頭をボリボリと掻きながら辺りを見渡し、その視線がレオを見て止まる。
「お? レオじゃねーか。お前が呼んだのか?」
「俺じゃないよ。ていうか、ガイドの仕事だよ」
レオの言葉にその小さな生き物が、俺と渚に視線を向けてくる。
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