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偉そうなファームのリル
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「ちっ……まーた男かよ……」
明らかに不快そうに顔を歪めて舌打ちした。
「あはは、ここに来る異世界人は男しかいないでしょ」
当たり前というようにレオが愉快そうに笑った。
そんなレオの言葉にため息をついてからその生物が俺と渚に近づいてくる。
「よー、お前ら。これから俺がお前ら二人をガイドしてやっから感謝しろよ」
ふふんと偉そうに宙でふんぞり返って俺達を見下ろすそいつから目線を外して、レオに話しかける。
「他にいないのか?」
「失礼なやつだなっ! 俺様の何が気に入らねーんだよ!」
「態度が気に入らない」
小さい体でプンスカと怒りながら地団駄を踏むそいつにジト目を向ける。
「あはは、いるけど、この子で我慢してやって」
「我慢ってなんだよっ」
俺に怒っていたかと思いきや、レオのあんまりな言葉に近くまで飛んでいくとポカポカと頭を叩く。
痛くはなさそうだった。
「とりあえず、リル。自己紹介からしたらどうだ?」
今まで黙っていた冬季が話が進まないことを気にしてか、その生物に声をかけた。
そいつは頬をぷくっと膨らませるとそろそろと俺たちの前に戻ってきて、腰に手をあてて得意げな顔をしながら自己紹介を始める。
「俺様の名前はリル。このガイドセンターのガイド役のいっちばん偉いファームだ。よーく覚えとけよ!」
リルと名乗ったそいつはポンと胸を叩いてふふんと顎を上げる。
そんなリルの態度に俺はピクリと微かに眉を動かすが、何とか無表情を保って胸の前で腕を組んだ。
「そうか。お前が偉いかどうかは別にして、しっかりガイドしてくれよ」
「なんでそんな上から目線なんだよっ」
どの口が言うか。
と言う言葉を呑み込んで無言で睨みつける。
「ええっと! 喧嘩してる場合じゃないと思うぞ?」
渚が俺とリルの間に手を割り込ませ、るとふるふると振ってなんとか場を落ち着かせようとする。
「えっと、リル、初めまして。俺は柊渚。こっちが大翔荒玖。わからないことだらけだから、いろいろ教えてくれると助かる」
「なんだ、こっちの兄ちゃんの方が礼儀正しいじゃねーか。おうおう、俺様に任せとけ!」
そんなリルの態度に流石の俺もカチンとくる。
渚がいつも下手(したて)な性格なのは知ってるが、そんな態度に甘えて、なんでこいつはこんなに偉そうなのだろうか。
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