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LP魔法と概念 3
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「LPはこの世界の存在概念でもある。1LPでも残しておけばなんの問題もないがLPが0になってから二十四時間経過すると、この世界で消滅することになる。元の世界にも帰れず、この世界にも留まれなくなるんだ」
冬季の言葉に俺と渚は返す言葉が見つからなかった。
言われた意味をわかっているのだが、頭がそれを理解しようとしてくれない。
「まぁ、LPを回復すれば問題ないわけだがな。でも、その回復が結構面倒だったりするんだよ」
重苦しい場の空気を和らげるように、冬季は極めて明るい声でそう続けた。
「回復……」
「それより、そろそろ向かわないとマズい。街に来られたら被害が出る可能性が高くなる。回復についての説明は後でするよ」
冬季は半透明の画面を見てから、少し遠いところで待機していたリーアに近づきその上に跨るとこちらに手招きしてきた。
俺と渚は顔を見合わせて小さく頷き、続くように足場を使ってリーアの上に乗る。
「リーア、悪いが第二危険区域近くにあるトトル高原まで向かってくれ」
冬季の指示に、リーアが鳴き声を上げてから、最初のときと同じように足をバネにして飛び上がった。
今度は渚のことをしっかりと抱き寄せる。
しかし、先程と違って風の音が耳を打ち、空気の流れを直に感じた。
全方から襲い来る風圧に押し流されそうで、リーアの背中にしがみつく。
呼吸をするのも、息苦しさを感じるほどだった。
「冬季っ! これ、最初のときはレオが空気の流れをなくしてくれたんだが、冬季は出来ないのかっ?」
俺は前に座る冬季に聞こえるように大きな声でそう聞いてみるが、その質問に冬季は苦虫を噛み潰したような顔をした。
「あー……さっきも言ったが、俺もLPがやばいんだ……っ! 出来れば空気の流れをなくしてやりたいんだが……悪い……っ」
リーアにしがみつきながら申し訳なさそうに謝ってくる。
そういえば、さっき魔法の使い方を教えてもらったときにそんなことを言ってたな……。
「……いや、大丈夫だ。つか、それって、俺達でも……出来るのか?」
「そうだな。LPさえあれば出来るぞ。リーアを守るイメージで魔法を発動するんだ」
俺はリーアの背中をそっと撫でてから、言われたとおりに魔法を使ってみた。
そうするとふわりと体から何かが抜ける感覚が過ぎったあと、体に受けていた風圧を感じなくなり、息苦しかった呼吸が楽になった。
「ふぅ……っ、やっぱり飛ぶって怖いもんなんだな……」
「リーアは速度は速い方だからな。後、気を遣わない。だから騎乗者のことはお構いなしなんだよ」
俺の言葉に冬季はそう苦笑いを零した。
まぁ、あくまでも支持されたことに従っている、というだけで、リーアは基本的に気ままな性格なのだろう。
こいつといい、リルといい、ガイドセンターには我が強い生き物ばかりがいるんだなと、その苦労に少し同情してしまった。
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