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君への信頼
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俺達は目的地のトトル高原に降り立った。
冬季が少し遠いところにリーアを移動させてから戻ってくる。
「もう少しでここに到着するみたいだ。とりあえず、安全第一。身の危険を感じたら撤退する。いいな?」
画面には移動しているのであろう大量の赤丸が映し出されていて、一直線でこちらに向かってきている。
「わかった。つか、これ、どうやって魔物の居場所を突き止めてるんだ?」
「これは魔力で探知してるんだ。アルドウルフが持つ魔力をAIに分析してもらって、それをもとにどこにいるのか表示してるんだよ」
「えっと……アルドウルフっていう魔物以外は探知出来ていないってことですか?」
冬季の言葉に渚が的確なツッコミを入れた。
「そうだな。でも、それ以外に場所を表示する方法がない。映像で見えていたのはアルドウルフのみだったし。他の魔物を表示したいなら、せめてその魔物の魔力を分析してからじゃないと難しい」
「…………」
なにか気がかりがあるのか、渚はそのまま口元に手を持ってきて考え込んでしまう。
確かに映像の中で見えていたのはアルドウルフと呼ばれた魔物のみだ。
それ以外の影は映し出されていなかったし、問題ないのだろう。
でも、もしも。
今、別の魔物も出てきていたら?
俺たちで対処できる強さじゃなかったら?
俺は、その時には冬季を見捨ててでも渚を連れて逃げる覚悟を決めた。
お世話になって、十分感謝もしている。
それでも、俺にとって渚よりも大事なものなどありはしないのだから。
「……きたか」
高原の先から走って来る魔物の群れに冬李が息を呑む。
数は……三十体前後、といったところだろうか。
冬季が魔法を使えないなら、俺と渚の二人だけで対処するしかない。
「とりあえず、リーアをすぐ出せるように待機しててくれ」
「わかった」
俺の頼みに冬季は深く頷いてリーアのもとへと戻った。
「渚。元素魔法の使い方は……空海島の時と同じなのか?」
「え? うーん……多分……」
冬季からは武器の生成のみしか教わっていない。
LPの残量や時間のこともあり、そんな余裕はなかったから仕方がないが、方法くらいは聞いておくべきだったと少し後悔した。
「何回魔法を使ったか、しっかり覚えとけよ」
どのみち今更気にしてもどうしようもないので、渚に声をかけてからすっと武器を構えた。
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