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君が笑っていてくれたら……。
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まだ起動したままの画面にチラリと視線を向ける。
相変わらず画面右上にはLP残量9/10と表示されていた。
LPが体から漏れ出てるということはわかったが、なぜ渚のLPは7で俺のLPは9なのだろうか。
俺と渚は同じタイミングで回復しているはずで、俺のLPが減っていないなら一日の間に漏れ出るLPのカウントはまだされていないということになる。
ならリルに分け与えた分と画面を起動させた分でLPは8になるんじゃないのか……?
「えっと、リル。俺も質問いいか?」
「あん?」
「俺と荒玖は多分同じタイミングでLP回復したと思うんだ。それなのになんで俺の方が多くLPが減ってるんだ?」
先程から考えていた疑問を代弁するように、渚がリルに質問を投げかける。
ふよふよと浮いていたリルは小さな手を顎に当ててうーんと暫く考え込んでからはっと何かを思い出したように俯けていた顔を上げた。
「ナギサはLPを蓄積しておきにくい体質なんじゃねーか? 昔俺がガイドしたやつの中にそんなやつがいて、通常よりもLPの漏れが多かったのを覚えてるぞ」
「そういう不便な体質もあるんだな……」
俺は小さく息を吐き出ししゅんと落ち込む渚の頭に手を置くと、くしゃくしゃと撫でてやる。
「ちょっ、急になんだよっ」
髪を乱されて迷惑そうに眉根を寄せながら俺の手を払いのけようとする渚の頭から先に手を離すと、起動していた画面を閉じて止まっていた足を前へ踏み出した。
「す、荒玖っ? どこ行くんだよ」
「決まってるだろ。フリーバンクからお金下ろしに行く。ここへ来るときに銀行見つけたしそこで下ろせるだろ。そうしたら飯の買い出しに行くぞ」
そんな俺の言い訳に渚は少し驚いた顔をしてから、嬉しそうに微笑んで隣まで走ってきた。
そうだな。やっぱり――。
こいつは、笑っている方がいい。
昔からずっと、そんな渚に俺は救われてきたのだから。
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