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日常の1ページで……。
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俺と渚は夕食の買い物のために二人でスーパーに来ていた。
「うーん……カボチャとコンソメ、どっちがいいだろうか」
野菜コーナーの前でカボチャスープを作るかコンソメスープを作るか十分程うんうん唸っている渚にチラリと視線を向ける。
横から見ても長いまつ毛に縁取られた蒼い瞳は見惚れるほどキレイで、その瞳を少し隠すように茶色の髪がさらりと僅かに動く。
無意識にその髪を移動させようと手を伸ば――そうとして、伸ばしかけた手をさっと引っ込めた。
(ダメだ。意味もなく触れたらびっくりさせてしまうし、変に勘違いされたら気まずくなる……)
親友という名目はあれど、理性のある時に言い訳も無しに気安く触れる度胸はない。
何かないかと理由を探すも、何も思いつくはずもなく。
「荒玖はどっちがいい?」
そんなことで悩んでいる俺に、渚がカボチャと玉ねぎをずいっと目の前に突き出してそう訊いてきた。
「どっちでもいいけど」
無表情のままその問いかけに短く答えると、何故かジト目を向けられてしまう。
「どっちでもいいが一番困るんだよ」
「……なら、コンソメでいい」
渚が作ったものなら贔屓目なく何でも美味しいので本当にどちらでも良かったのだが、カボチャを切るのに手間がかかることを考え、コンソメスープを要求することにした。
俺の返答に嬉しそうに微笑んでから小さな玉ねぎを二つかごの中に入れて、更にじゃがいも、人参、キャベツ、ウインナー、コンソメと次々と放り込んでいく。
どんだけ入れるんだよとツッコミたくなったが、とりあえずここは黙っておくことにした。
というかむしろ、この材料の多さだとコンソメスープの方が手間がかかりそうじゃないか?
カストレアにあるスーパーはあちらの世界と変わらない食材や調味料が普通に存在していた。
野菜もお菓子も飲み物も見たことのあるパッケージで、製造メーカーのみが良くわからない名前になっているくらいだった。
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