アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
見えない君の気持ち
-
行為のあと。
このまま料理をするのは流石に抵抗があったので先にお風呂に入ることになった。
料理当番ということもありお風呂は渚に譲って、俺はベッドのシーツなどを取り替える。
替え用のシーツを綺麗に敷き直して洗濯機に使ったシーツを押し込んだあと、手を洗い居間のテーブルを拭いていく。
キレイになった机の上にコップを二つ、ホコリが入らないように逆さにして置いた。
「渚も体、疲れてるだろうし……」
そんな風に独り言ちた矢先、先に風呂に入った渚が居間へと戻ってきた。
「荒玖、お風呂行ってきていいよ。俺、ご飯作ってるからゆっくり浸かってきて」
渚はまだ水滴が残る髪をタオルで拭きながら、こちらに近づいてきてふわりと微笑む。
髪から仄かに香る柑橘の匂いと、お湯で火照った体から漂う石鹸の香りに心臓がまた騒ぎ出してしまい頬に熱が集まる。
自然と視線がTシャツから見える鎖骨と胸元にいってしまって、慌てて視線を逸らした。
ヤバい。さっきしたばかりなのに……。
情欲を掻き立てる渚の色香のある姿に、落ち着いた筈の気持ちが刺激されてしまう。
「荒玖? 聞いてるか? あ、それより――」
「……っ、えっと、じゃあ俺も行ってくるから……っ」
「え? あっ、ちょ……っ」
胸の高鳴りと頬の熱を悟られないようさっと渚から離れると、そのまま逃げるように脱衣所まで走り扉の鍵を締めた。
渚がなにか言いかけていた気がしたが、自分でも絶対に顔が赤くなってるのがわかってとてもじゃないが振り向く気にはなれなかった。
洗濯機に服を放り込んで浴室に足を踏み入れると、扉に寄りかかりながら大きく息を吐き出す。
「はぁぁぁ……ヤバい……」
今日の行為は前のときとは何か空気自体が違った気がした。
まるで本当に渚と愛し合っているみたいで、甘えてくる態度や表情が“仕方なく”という感じではなかったような気がする。
俺の願望がそういう風に捉えたいだけなのかもしれないが、それでも幸せすぎて夢なんじゃないかと疑いたくなる程だった。
「……渚も、俺のこと意識してくれてんのかな……」
願望――。
そうだといいのに、と思う反面。
渚は昔から懐けば距離が狂ってくるタイプのやつなので、素でやってるんじゃないかという不安の方が大きくて。
「……俺が渚のこと恋愛として好きって言ったら、どんな反応をするんだろうか……」
そう口にはしても、実際に言う度胸なんて一ミリもありはしないのだが。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
93 / 308