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その口づけで
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「ンン……っ!? んっ……、ンんぅ……っ」
口の中に渚の舌が入り込んできてハンバーグを絡めると、そのまま自分の口に移動させてから触れていた唇をゆっくり離した。
「……ん、あはっ、我ながら意外と美味しく作れてる」
何が起きたのか分からず唖然と渚を見つめていたが、やっと思考停止していた脳が働いて、さっきの出来事を思い出した瞬間、体が一気に熱くなった。
「あ……えぇ?! あ、の……な、渚、おま……っ」
「うん? どした?」
「いや……どうしたって……い、いま……っ」
「うん、食べさせてくれるって言ったから貰った。普通に美味しかった」
「そうじゃなくて……っ」
頭の中が混乱していて、会話しているはずなのに会話が成り立っていない気がした。
しれっとそんなことを言う渚に言い返す言葉が見つからず表情を隠すように目元を手で覆う。
(え……? なに? なんなんだあれは?! こいつのコミュニケーションは狂ってるのか?! いや、嬉しい……っ、うれしいけど……っ)
「荒玖? 大丈夫か……?」
目元を覆っていた手をそっと離して渚の顔を見遣ると、心配そうな表情でこちらを覗き込んでいた。
そのまま少し近づけばキスできそうな距離に、更に心拍数が跳ね上がっていく。
「大、丈夫……」
距離を取るように身を引いて、大きく息を吐き出した。
「それならいいけど。あ、俺ちょっとお手洗い行ってくるな」
そう言うや否や渚はすっと立ち上がってさっさと居間を出て行ってしまう。
その後ろ姿を見送りながら、帰ってくるまでにいつもの平常心を取り戻せるよう、頭の中で必死に四字熟語を唱え続けるのだった。
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