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運命なんか、信じない
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素泊まりのネットカフェでは、身体を伸ばして眠ることができなかったため、疲れがこびりついたみたいに取れなかった。
深く眠れたのは、何週間ぶりのことだろう。
「あ……」
ベッドの横に千歳の荷物が置いてある。
スマホの電源を入れて日付と時刻を確かめた。
ほぼ丸一日、自分は眠っていたようだ。
今いる場所もここに来た経緯も頭になくて、どっと不安が押し寄せてくる。
随分と長い間眠っていたからか、立つと軽く目眩がする。
ふらつきながらも、千歳は扉に辿り着いた。
ドアノブを握る前に、目の前の扉が開いて驚く。
千歳の掠れた悲鳴を上塗りするように、「わあー」と足元で高い声がした。
──男の子……いや、女の子?
くっきりと二重のついた大きい目に、癖のある巻き毛。
尻餅をついた可愛い天使は、千歳の顔を見上げている。
「レグ……」
「何だ……ユキ?」
天使のような見た目の子が、千歳から離れて長い足にきゅっとしがみつく。
千歳を映す瞳はヘーゼルグリーンの淡色で、幼いながらも目鼻立ちがはっきりしている。
千歳のいる部屋に、暖かな光が差し込んだ。
暗い部屋に慣れていた目を瞬かせると、そこで初めてレグと呼ばれた男を見上げた。
天使と同じ色をしているのに、どこか冷たい温度を纏った双眸が千歳を貫く。
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