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運命なんか、信じない
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純真無垢な天使は椅子へと上り、二人分しか用意されていない食卓をじっと見ている。
「なぁんで?」と、しきりに聞いてはレグルシュの顔を引きつらせていた。
千歳は別の意味で胃が痛くなった。
「いつもは俺と二人きりだろう。急で用意がなかったんだ」
「ちーの分はないの?」
「ああ、そうだな」
「レグ、うっかりさんだね。ちーにユキの分あげてもいい?」
「……はあ?」
眉間に刻まれた皺が深くなる。
彫りが深く、整った造形の男の表情には、よそ者の千歳に対する嫌悪が刻まれている。
トーストされたパンの香ばしい匂いとバターの香りに、無理矢理忘れようとしていた食欲が湧いてくる。
氷のように冷たいレグルシュを前にしても、ユキの好意を千歳は断りきれなかった。
レグルシュはわざとらしく溜め息を吐くと、テーブルの上のトーストとオムレツを、千歳のいる前に置いた。
食器がぶつかり、大きな音を立てる。
「食っていいぞ。端を焦がした失敗作だがな。俺は新しいものをつくる」
「あ……ありがとうございます!」
──レグルシュさんって、ぶっきらぼうだけど本当は優しい人なのかな。
小さなユキ一人では、大人の千歳を抱えて家に入れることなど出来ないし、レグルシュがわざわざ連れてきてくれたのだ。
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