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マヌルネコ
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「ユキ、ちーに何かしたの?」
「えっと……ぎゅーってさせてもらって」
──な、何て言えばいいんだろう?
ユキは大きな目をぱちぱちさせている。
自分にもユキにも、言葉で上手く説明出来ない。
何だか無性に、ユキを抱き締めたくなってしまったのだ。
そして本当に、底から力が湧いてくるような気がした。
「ユキのおかげで元気になったの!?」
「うん。ユキくんすごいね。魔法みたいだった」
「えへへ。ユキ、すごい? ちー、いつでもユキのことぎゅーってしていいよ!」
千歳が褒めちぎると、ユキは得意げになって距離を詰めてくる。
初日は見ず知らずの千歳に対して、距離を取っていたユキは今ではべったりと甘えてくる。
千歳の拙い褒め方でも、ユキは全身で嬉しさを表していた。
背中を向けて膝にのってくるユキを、千歳は両腕で包み込む。
柔らかい体温が、切なくて愛おしい。
うとうとと舟を漕ぎ始めた頃、ふいに後ろから物音がした。
千歳は薄く目を開けて、音の正体を確認する。
ダイニングキッチンに、いつの間にかレグルシュがいて、千歳の心臓は竦み上がった。
「昼寝か? 職探しはさぞかし順調なんだろうな」
レグルシュはケトルを沸かしながら、皮肉を言う。
勤めていた会社をクビになり、路頭に迷っていたのだと、レグルシュには事実の半分のみを伝えていた。
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