アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
マヌルネコ
-
「す……すみません。まだ面接までいっていなくて」
三日で見つかるわけがない。
書類選考には大抵の場合一週間はかかるし、そこから面接の日取りを決める。
千歳がエントリーした数社のうち、何社かからはすでに不採用の通知がきている。
原因は十中八九オメガ性であることだろう。
新卒での就職活動だって、内定が出るまでに数十社と受けた。
転職はもっと厳しいと覚悟している。
「前職はアドルカだったんだろう。そこそこの企業なのに何故辞めた?」
「親戚の会社でコネ入社だったんですけれど。トラブルを起こしてしまって」
婚約者に振られて職を失った、とは惨めで言えなかったので、嘘をついた。
レグルシュはコーヒーを飲みながら、千歳に問いかける。
「アドルカ」とは、拓海が立ち上げた会社の名前だ。
レグルシュは千歳の保険証を預かっていたから、勤め先を知っているのだ。
ネックガードや発情期の不快感を和らげるパフュームなど、オメガ向けの商品をつくっている。
四半期ごとに流行を取り入れたグッズは、雑誌やテレビで次々と取り上げられ、企業規模を拡大していった。
拓海が特に力を入れていたのはSNSで、自社のグッズを身につけた千歳をモデルにして、自分と公式のアカウントで毎日写真をアップしていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
26 / 246