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マヌルネコ
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提案を持ちかけると、ユキは複雑そうな顔になる。
ふかふかの白いほっぺが、ぷくーっと餅のように膨らんだ。
可愛いモンスターは、不満そうにしながらも「わかったぁ」と濁った声で言う。
千歳は与えられた役を演じようと、ママになりきることにした。
記憶の中のママではなくて、テレビの中の綺麗で優しいママを。
「ママ。おはよー。朝ご飯できてるよーっ」
「あ、おはよう。パパありがとう」
「どういたちてー!」
──ユキくんのお家は、パパがご飯をつくってるんだ。
やっぱりレグルシュが父親なのか。
ユキは猫のぬいぐるみをあやしながら、玩具のお皿によく出来た料理の模型を載せている。
「ママ、今日もキレイだね」
「……えぇっ。あ、ありがとう……」
──すごいなユキくん……というか、ユキくんの家庭。
「キレイだね」なんて囁くレグルシュを想像してしまい、千歳は何だかドキドキしてしまった。
役者でも出来そうなほど、整った顔立ちだが、果たして笑うことなどあるのだろうか。
家族ごっこにはユキの家庭環境が、鏡のように映し出されている。
猫のぬいぐるみはユキ自身なのだろうか。
よく見てみるとかなり年季が入っていて、耳や胴体と手足の接合部が裂け、白い綿がはみ出している。
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