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マヌルネコ
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レグルシュは仕事、ユキはマヌルネコのぬいぐるみで一人遊びをしている。
普段と変わらない光景なのに。
「ただいま。ユキくん」
「ちー……」
──どうしたんだろう。
ユキに元気がない。少し目が赤くなっていて、いつものように千歳に抱きついて甘えてこない。
「どうかしたの?」
ユキは何度も首を左右に振る。
夕食時になっても、ユキに元気は戻らなかった。
一方でレグルシュはそんなユキの様子を気にかけることもなく、淡々としている。
千歳は意を決して、ユキの様子がおかしいことをレグルシュに伝えた。
「ユキくんの元気がないみたいです。具合が悪いのかもしれません。今からでも病院に……」
「言われなくても分かっている。別に病気じゃない」
「でも、何だか様子が変で」
千歳が続けて言うと、レグルシュの顔が険しくなる。
「他人のお前に言われなくても分かっている! 明日からはここを出ていくんだろう。俺とユキがどうなろうと、関係ないはずだが?」
「そんなこと、ありません。ユキくんとレグルシュさんには、たくさんお世話になりました。だからもし、僕に出来ることがあるなら……」
言葉を遮るように、レグルシュは拳で壁を殴った。
どん、と重い音と振動が、千歳の足に伝わる。
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