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マヌルネコ
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「親戚ではなくて……婚約者の会社に勤めていたんです。パートナーになるからと言われて、ほとんどを共通の口座に入れていたので、自分で使える分はあまりなくて……」
「で、振られたんだな?」
もう少し言葉を選んで欲しいものだ。
千歳は俯きながら「そうです」と小さく答えた。
「とんだお人好しだな。最初からお前の金を巻き上げるつもりだったんじゃないのか」
「そんなことは……ないと思います」
はあ、とレグルシュは苛立ち混じりの溜め息を吐いた。
今頃、拓海はどうしているのだろう。
自分と過ごした思い出は、全て捨ててしまっているのだろうか。
未練はあっても、生きていくためには仕事をしてお金を得なければいけない。
前に進まないといけないのだから。
……────。
翌朝、ユキは十時頃と、遅い時間に起きてきた。マヌルネコと一緒だ。
レグルシュは何度か咳払いをしてから、ユキと同じ身長になるように屈んだ。
「……昨日は、悪かったな」
「……ユキも、ごめんなさい」
ユキはぺこりと頭を下げた。
千歳もレグルシュもまた朝食をとっていないので、お腹はぺこぺこだ。
ユキは自分の椅子ではなくて、何故か千歳の膝へ「うんしょ」と登ろうとする。
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