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マヌルネコ
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「ゆ、ユキくん?」
「ちーとずっといるんだ……」
朝食をとるときも歯磨きをするときも、ユキは片時も千歳から離れようとしなかった。
見かねたレグルシュが、「出かけるぞ」とユキに声をかけた。
「やだーっ! レグ一人でいいのっ!」
「そいつも連れて行ってやる」
「え? どこにですか?」
「まだ仕事は見つかっていないんだろう。無理にとは言わないが、紹介だけはしてやる」
「……実は、昨日決まりまして」
「はあ!? お前……どうしてそれを早く言わないんだ」
千歳はユキを抱きつかれたまま、低頭した。
「すみません……言いそびれていました。一応、ファミレスのアルバイトに」
「話だけでも聞いてみないか? 俺の友人が人手を欲しているから、受けてくれるとありがたい」
その提案に、千歳は頷いた。
このまま未経験のアルバイトを始めるのには不安があったし、何よりも初めから冷たい態度を取っていたレグルシュが、こう言ってくれているのだ。
レグルシュの厚意に、千歳は素直に甘えることにした。
車で三十分程走らせた場所は、駅からそれほど遠くない、小洒落たストリートだった。
白い漆喰に玉砂利やビー玉が敷き詰められており、晩夏の日差しで煌めいている。
古家が並んでいるように見えるが、一軒一軒見てみると全て店のようだ。
手作りの雑貨屋や、食事処で賑わっている。
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