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La・Ruche
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この前は少し奮発して、ページを捲ると絵が立体的に飛び出るしかけ絵本を買った。
ユキの喜ぶ顔が見られて、千歳も自分のことのように嬉しくなった。
就寝前、ユキは「絵本を読んで!」と、千歳にお願いをする。
「お姫様どうなるの? わるいドラゴンに、王子様やられちゃうの?」
「ふふ。さあ、どうなるでしょうか」
小学生向けのファンタジー小説を、幼児向けの絵本用にリライトしたものだ。
千歳は子供の頃に読んだことがあるので、結末は知っている。
「……こうして、王子様はわるいドラゴンをやっつけて、お姫様は助けられました。わるいドラゴンはいいドラゴンになって、王子様の仲間になりました。王子様とお姫様は結婚して、いつまでも幸せに暮らしましたとさ」
「めでたしめでたしー」
ユキは小さな手でパチパチと、拍手を惜しみなく送る。
ベッドに入った後も、興奮した様子で絵本の中の人物を語っている。
「ユキくんは誰が好きだった?」
「んーとねぇ……お姫様が可愛くて好き!」
「お姫様。最後は幸せになってよかったね」
「うんっ。レグはドラゴンみたいだ。ユキとちーに意地悪する!」
千歳は堪えきれずに吹き出してしまった。
──少し前までは、そう思っていたけど。
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