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La・Ruche
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初対面の頃と比べると、レグルシュは千歳にいろいろな表情をするようになった。
仕事上だけでなく、そしてユキのこと以外でも、レグルシュに話しかけられることは増えた。
──いや、多分、負い目を感じているのだろう。
だから千歳に仕事を斡旋し、頬の怪我をこうして気にかける。
住み込みで美味しい食事付きで、給料も悪くない。好条件で。
「ユキくんが描いてくれた猫ちゃん、僕は可愛くて好きです」
「猫? 豚かと思った」
「もう……ユキくんの大好きなマヌルネコですってば」
ユキが聞いていたら、頬を膨らませてぷりぷり怒り出しそうだ。
千歳は見たことがないが、マヌルネコは日本でも一部の動物園で展示されているらしい。
ネットで調べてみると、長毛で丸っこく、ユキの大事にしているぬいぐるみとそっくりだった。
La・Rucheへ出勤する朝には湿布を捨ててしまう。
その日、千歳が帰ってくるなり、ユキに問い詰められたのだ。
『なぁんでユキの描いたマヌルネコ捨てちゃうの!?』
一日で使い捨てるものだと必死に説明した千歳の言葉に、ユキは「……わかったぁ」と、いつもの不満で濁らせた返事をした。
千歳が「毎日描いてね」とフォローを入れ、その場は不満を抑えてもらった。
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