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La・Ruche
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「ユキくんは暴れたり散らかしたりしたかったの?」
「ううん……したくない」
しゃくりあげていたユキは落ち着きを取り戻していく。
「したくないけど……わかんないの。レグとちーがいなくなって、おいてかれたと思ったの」
寂しそうに話すユキの瞳からは、大粒の雨のような涙がひっきりなしに流れる。
あんな男のくだらない話のために、ユキを置いていった自分が情けなくなった。
「ごめんなさい」とか細い声で繰り返すユキに、千歳も「ごめんね」と謝った。
「ちー、ごめんなさい……。ユキのお世話、ずっとしてくれる? シッターさんやめないよね?」
「えっ……う、うん」
──でも、ユキくんには僕じゃなくて、お母さんがいる……。
以前、レグルシュに言われた「まるで親気取りだな」という言葉が、胸を締めつける。
あのときは的外れな指摘だと思ったのに。
ユキにシッターの仕事以上の情が湧いてしまっている。認めるしかなかった。
一人ぼっちでどこか寂寥感を称えた瞳を初めて見たとき、この子を守りたいと思った。
昨日まで無償の愛を注いでくれた両親はもういないことに、絶望した自分のようにならないで、と。
「ユキ、いい子にする。もう散らかしたりしないから、ちー、ずっといて……おねがいだ」
「うん……大丈夫だよ」
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