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La・Ruche
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ユキの幸せを願う気持ちが嘘偽りで、自分がここにいたいがためなのだと、千歳は認めてしまったのだ。
「お、おい……何故泣くんだ。俺が悪いのか?」
「すみません……違うんです。ユキくんの側にいるのは……ただの思い上がりのような気がして。僕はユキくんとずっと一緒にいたい……でもそれは、絶対にユキくんの幸せにはならないんです」
自分のお腹を痛めて産んだ子供でもない。
千歳がユキに与える愛情など、本当の母親に比べれば塵のように軽く小さなものだ。
いずれユキが母親の元へ帰るとき、笑顔で送り出せる自信がない。
汚い嫉妬の矛先を二人に向けてしまうかもしれない。
「お前はよくやってくれている。ユキがよく懐いているのが証拠だ。あいつが初対面のお前に朝食を分け与えると聞いたときは、信じられなかったぞ。野生動物並みに、食い意地の張っているやつなのに」
千歳は力なく首を振る。
レグルシュは頭を掻きながら、独りごちた。
「お前が、ユキの本当の親ならよかったのにな」
「そんなこと……言ってはいけません」
否定しておいて、レグルシュにそう言われたことに高揚する。
建前と本音が乖離する感覚に、千歳の胸は押し潰されそうになった。
ワインの酩酊感がそう言わせているのか、今日のレグルシュは千歳に対して酷く優しかった。
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