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ユキ
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「大きいお山ができたね」
「うんっ!」
できたての山に影が落ちてきて、千歳とユキは天を見上げた。
ユキと同い年くらいの女の子が、様子を窺っている。
「こんにちはっ」
ツインテールをした女の子は元気よく、二人に挨拶をする。
千歳はにこっと笑いながら、「こんにちは」と返した。
対してユキはさっと背中に隠れてしまった。女の子はユキの態度にそわそわしている。
「ユキくん。お友達が挨拶してくれてるよ」
ユキはふるふると首を振るだけだ。
幼稚園での出来事が、今のユキの性格を形成しているのだろう。
それでも、千歳が全て手助けするわけにはいかない。
「ユキくん、頑張って」
ユキはすーはーと深呼吸をした後、千歳の後ろから出てきた。
「こんにちは。すおう……こゆきです。五歳です」
囁くような声で、ユキは自分の名前を言った。
「大橋 花梨[オオハシカリン]です! 五歳です! こゆきちゃん、可愛いお名前ねー!」
性別を間違えられたことに、ユキはぷくっと頬を膨らませて抗議する。
「ちゃんじゃない」
「え……? こゆきくんなの? 間違えてごめんね」
「……いいよ」
──ちゃんとコミュニケーション取れてる。
千歳は二人の邪魔をしないように、そっと離れた。
花梨はユキよりもお姉さんのようで、いろいろと話しかけてくれている。
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