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ユキ
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ユキの手を引いて、千歳は帰り道にあるスーパーに寄った。
昼頃なので、人はそこそこ多い。
買い物かごで手が塞がっている千歳の足に、ユキはぴたりとくっついている。
千歳が唯一子供の頃からつくり慣れている料理というのは、焼き飯だ。
油の代わりにバターを使い、仕上げに醤油を回しかける。
専用の調味料を買わなくても、これで美味しいものができるのだ。
卵と人参とハム、汁物もつくりたいので、中華スープと冷凍の水餃子をかごに入れていく。
そして、千歳がピーマン売り場の前に来ると、ユキは「えーっ!」と抗議の声を上げた。
「なぁんでユキの嫌いなピーマン入れるの!?」
「細かくして苦くないようにするから……ダメかな?」
千歳の料理を楽しみにしていただろうユキの機嫌は、斜めに急降下する。
千歳はユキよりも下にしゃがみ「お願い」と一度だけ言った。
過度に好き嫌いを矯正するつもりはないが、我儘ばかりを受け入れていたら、本人のためにもならない。
ユキの自主性を尊重することにした。
「……わかったぁ。絶対苦くしないでね!?」
「ありがとう。ちょっと風味は残るかもしれないけど、頑張って美味しくつくるね」
「ちー……魔法でピーマン甘くして!」
「うーん……魔法は使えないから無理かも」
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