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ユキ
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預かっている鍵を使い、千歳は玄関扉を開ける。
先に樹を通そうとしたが、玄関先に立っているレグルシュの姿を見ると、「ひっ」と悲鳴をあげて、数歩下がった。
「……姉貴は呼んである。俺から言いたいことは山ほどあるが、それは後でもいいな」
「お、お久しぶりです。ここ数ヶ月のことは、千歳さんからお聞きしています。レグルシュさんにもご迷惑をおかけして本当に申し訳なく……」
「迷惑をかけた程度で済むと思っているのか? 言っておくが、俺は姉貴がキレても止めてやらないからな。お前の味方はここには一人もいないと思え」
レグルシュが凄むと、樹は口籠った。
とぼとぼとリビングへ向かう背中は小さい。
千歳は眠っているユキを預かり、二階のベッドに連れて行った。
ユキの穏やかな寝顔に、千歳は心の中で願う。
──ユキくんのお母さんとお父さんは、絶対仲直りできるよ。
ユキが悲しむ結果にはしたくない。
それは、ユキの両親も、千歳やレグルシュも、皆が思っていることだ。
階段を降りた先では、レグルシュと樹がテーブルを挟んで向かい合っていた。
まるで検事と容疑者のような構図だ。
沈黙にいたたまれなくなり、千歳が「飲み物を淹れましょうか?」と二人に声をかけるも、無言が続いた。
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