アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
先輩!!
-
信じられない、と思いながらステージを見て、さらに僕は目を見開いた。
「あの人!!」
熱狂に紛れて僕は叫ぶ。
目の前でマイクをもってギターを構えるバンドの一人である男の人は、
あの先輩だったのだ。
先輩がギターをジャーンとかき鳴らす。
その瞬間、「凛音!凛音!」
と周りがコールを始めた。
明かりがまぶしくて目がくらむ。
でもそれ以上に僕は...
先輩が輝いて見えた。
音楽が始まり、激しいロック調の音楽が流れる。
そしておもむろにマイクを口に向け、先輩が歌いだした。
あの時の声だ...
僕は口を開けてただその先輩を見つめることしかできなかった。
先輩はやっぱりかっこよくて、歌も上手だ。
「凛音!!!」
周りの人がどんどん先輩の名前を呼んでいく。
……僕はまだ、先輩の本名を知らない。
名前を呼ぶことすらできていない。
僕は今、先輩のことを何も知らない。
だけど、僕は声援が聞こえないほどに先輩の声に聞き入っていた。
かっこいい...
僕はその瞬間、その先輩のことしか考えられなくなった。
「星音!すごかったな!」
湊が興奮冷めやらぬ目で僕に言う。
「うん!すごくかっこよかったね!」
僕のかっこいい、はさっきの先輩に向けたものだ。
でもバンド自体も素晴らしくて、僕は興奮しすぎて疲れてしまった。
「ちょ、ちょっと疲れたからトイレ行ってるね。」
僕はそういって席を立った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
16 / 58