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届け。
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ライブ当日になって、俺は緊張し始めた。
みんなに心配されてしまい、外の空気吸ってこい、と勇誠さんに言われ、周りにばれないように外に出る。
ロビーにいた星音と目が合ってしまい、平然を装ってそっちにいあるいていった。
「よう、来てくれたんだな」
「あ、朝西先輩、おはようございます。こちら、僕の友達の結城湊です」
そう星音が隣の男子に目を向けていう。
「り、凛音先輩!お、おはようございます」
そいつは俺にペコッと頭を下げた。
結城...湊か。
聞いたことある。サッカー部ですごい活躍している一年生がいるって話だったけど、確かこいつだ。
「お前、サッカー部の湊だよな?」
「は、はい!」
「星音のこと、頼んだぞ」
そういうと湊はきょとんとした顔になってしまった。
緊張してるとはいえ、いらないことを口走ってしまった。
「おまえら、あとでライブ終わったら控室来いよ。打ち上げ、来るだろ?」
「い、いいんですか!?!?」
と言って喜ぶ湊の隣で、笑顔になる星音。
俺らが話してるのを、ほほえましく見ている、といった感じだ。
だって、母親みたいな顔してる。
「おう、じゃ、あとでな、星音」
これ以上いるとボロが出そうなので、慌ててその場を離れた。
急げ急げ、と急かされて慌てて舞台袖へ向かった。
一曲目はタカトさんの曲だから俺は袖待機だ。そのあと、上手から入場して暗闇でたつ。
ホワイトボードに書いてある自分の動きを確認して、息を吐く。
大丈夫だ、星音は笑ってくれる。俺を嫌いになんてならない。
拍手が聞こえる。
星音に届け。
俺はステージに上がる。
ほとんど何も見えない。見えるのはライトだけだ。
どうせ星音は見つけられない。
でもアイツは...絶対俺のことを見てる。
どこにいてもあいつに届くような曲を、俺は作ってきたじゃないか。
後はそれを、響かせるだけだ。
深呼吸をして、決めポーズをとる。
そして、ステージは明るくなった。
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