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帰ります
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凛音さんは笑顔で抹茶のケーキを食べている。
……甘いもの、苦手なのかな。
わからないけど、そんなこともきっと、あの店員さんは知ってるんだろうな。
凛音さんの一番にいるのは無理だってわかってるのに、体も心もそれを求めちゃうんだ。
「星音?」
凛音さんに話しかけられて、慌てて背筋を伸ばした。
「は、はい!なんでしょう?」
「さっきから、ほんとに大丈夫か?全部上の空みたいだけど。」
「だ、大丈夫ですよ」
慌てて笑顔を作ろうとするも、奥で店員さんがこっちを笑顔で見ているのが見えて、作るのをやめた。
「おいしかったです。僕、もう帰りますね。」
何でそういったかはわからない。だけど体が先に動いていた。
ゆっくり席を立つ。
「おい、どうしたんだよ!?待てって!」
凛音さんの声を背中に、店を出た。
……
「どうしたんだよ、あいつ……」
「ちゃんと誤解を解かなきゃダメよ、朝西君。」
「は?誤解?」
「……まあ、あとで気付くわよ。ほら、早く行かなきゃ逃げられちゃうわよ。」
……
「はぁ……」
僕、何してるんだろ。馬鹿じゃん。
ドンドン足取りはゆっくりになって、そして0になる。
凛音さん、追いかけてこないかな……なんて思って振り返ろうとした瞬間、肩に手を置かれた。
「はぁ……はぁ……探したぞ……」
息を切らした凛音さんだった。
「……探してくれたんですか?僕が逃げたのに?」
「あたりめえだろ。なんで逃げたのか理由もわからないのに。」
凛音さんが僕の手を握って歩き出す。
「さあ、帰ろうぜ。今日は泊まってけ。」
「えっ?いいですよ!そこまでしてもらうわけにはいきません!」
「お前、俺のこと信用してないのか?」
そう言われて僕は言葉に詰まった。
信用はしてるつもりだ。
だ、だけど急にお泊りなんて、そんな...
「別に急でもないだろ。好き同士なら当たり前にすることよ」
こ、心の声が漏れてたみたい...
「それに、誤解ってやつも解きたいし。」
「...誤解?」
「そう、なんかお前が誤解してるっぽいからさ。」
凛音さんの言っている意味がいまいちよくわからないけど、別に、いっか。
「わかりました、なら、その、迷惑じゃなければ。」
「迷惑?んなわけねえだろ、ほら行くぞ」
凛音さんに連れられて家までくる。
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