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第6話
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目を覚ますと部屋にトオルの姿はなく、ベッドのそばにあるサイドボードに手紙とシリアル。
「これ食べてて」
たったそれだけの手紙。拘束は解かれてて、痣が付いてしまっている。テレビには相変わらずニュースが流れている。
「もう、僕のニュースはやってない。」
誘拐なんかより大きい事件なんてごまんとある事は分かってる。それでも、どこか寂しくなる。僕がシリアルを頬張っていると部屋の戸が開く。
「あれ、早いね。おはよう。」
普段は見ないスーツ姿。どこに行ってたんだろう。
「早いってもうお昼前だし。」
テレビの画面を指差す。そしてシリアルを頬張る。そんな僕を呆れながら眺め、ネクタイを緩める。
「確かに。はぁ、スーツって疲れる。」
「どこ……行ってたの?」
聞いてもいいのだろうか。聞かなかったら良かったかな。
「んー、就活?そんな事より、大事な話があるんだけどいいかな。」
僕の隣に座るとまっすぐと見つめてくる。この前はじっくり見れなかったが、外国人のような顔立ちで俗に言うイケメンだ。
「要、俺はここを出ようと思ってる。上にも話は通してあるんだ。」
じゃあ、もうお別れなの?僕はどん底に叩き落とされたような感覚がした。
「そ…っか…良かったね!!」
泣きそうなのを我慢して、精一杯の笑顔を作る。しかし、トオルは不思議そうな顔をした。
「何言ってんの?要も来るんだよ?実はさ…俺が要を買ったんだよね。」
ちょっと照れくさそうに笑っている。どうやら上層部が就職先を斡旋したらしい。
「まぁ表向きは、誰でも知ってるような大きな会社だし、そこの幹部に言われたら面接しない訳にもいかないって。」
しかし、笑顔が段々と真剣な顔になっていく。
「勝手に進めちゃったけど、俺とずっと一緒にいて欲しい!!ただ、1つ問題があって…。」
ここの人間が売られる時、社長に調教の度合いを見てもらわないといけない。社長曰く、粗相をしてはいけないから。僕はただ無言でトオルの話を聞いていた。
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